スカイダウン

天奇

第1話 日常



その日空が落ちてきた_


正確には宇宙が縮んだというのか

無限に続く宇宙に限界がきたのだ。


そして空はどんどん落ちてくる。



___

_


ジリリリリッ


暗い部屋、カーテンの隙間から光が差し込む朝方。

無音の空間に目覚ましの鋭い音が響く。


カチッ


布団から手を伸ばし、煩い音を止める。


「んぅっ…朝か…」


それが彼女、小鳥遊真兎たかなし まとの日常だった_


真兎は布団から出て、クローゼットから制服をだした。

ワイシャツに手を通し、その上からベストを着るそしてまたその上に青緑のジャージを羽織った。

これがいつもの格好。


後は毎朝酷い寝癖を直すだけ。

真兎はあくびをしながら部屋を出て、階段を降りた。

下には当然誰もいない。


彼女の家系は母親と父親、それから双子の兄が1人。

しかし両親は忙しく、仕事先の寮で暮らしていて、滅多に帰ってくることはなかった。


兄は朝早くから学校へ行くため真兎はいつも1人で朝を過ごしていた。

これもいつもと全く変わらなかった。


真兎はリビングを通り洗面所へ行った。

蛇口をひねり水を手いっぱい溜めて顔を洗う。

冷たい水に肌がピリピリし、眠気が完全に覚めた。

横に置いてあるタオルに顔をうずくめ水気を拭いた。

その後また水を出し、髪につけて寝癖を直す。

この作業を1通りやってから彼女は洗面所を出てリビングへ戻る。


「うわっパンきれてたっけ…」


リビングにある台所の棚にはパッケージに『美味しいロールパン』とかかれた空っぽのビニール袋が1つ。

それを見て真兎はため息をついた。


きっと今日の早朝兄が食べていったのだろう。

袋くらい捨てろと怒りがこみ上げてきた。

しかしもう1度ため息をついて2階へ上がった。


部屋に入り、机の横にぶら下げてあるスクールバッグを手に取った。

そして外へ出て、鍵を閉めた。


季節は初夏。

だんだんと暖かくなっていくこの時期が真兎は好きだった。

途中でコンビニに寄り、メロンパンを1つ買ってから学校へ向かう。

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