第二話____ドアのくせに生意気だ
歩けば歩くほど賑やかさを失っていく
先程までは歩く隙間もあまり無いほどに混雑していたというのに、今は道の真ん中を堂々と歩けるほどに誰もいない
5分ほど歩くと広い道に出た。
辺りを見回すと、確かにほかの家より大きな建物がある。恐らくあれが役場だろう
それにしても異常な静けさだ。
シグマは無意識のうちに周りを警戒していた。
この役場すらも何かの罠なのではないか もしかするとヤクザの事務所なのではないか そんな事を考えながらドアの前に立った。
「本当に役場なんだろうな?面倒ごとはごめんだぜ...」
覚悟を決めてドアを開けようとした。しかし ドアは1mmも動くことはなかった
「まさか この扉を開けることが出来ない奴にジョブを持つ資格はないみてぇーな試練的なやつか?ドアのくせにナメやがって!!上等だコノヤロー!!」
シグマはドアを本気で押した!
ドアを押すのに必死で聞こえていなかったが よく聞くと中から声が聞こえる。怒鳴り声だ
「なんだ?トラブルでもあったのか?巻き込まれるのはごめんだぜ」
なんてボソボソと言いながら耳を澄ました
「誰だ!!!そこにいんのは!開けろ!おい!聞いてんのか!」
シグマは物凄く嫌な予感がした
ドアがドン!ドン!と音を立てながら揺れる
確かに向こう側からも力が加えられていた
「おいおい、マジかよ...」
まさかの 引いて開けるドアだった
引いて開けるドアを本気で押していたため向こう側からは開けられなかったようだ
シグマは考えた。手を離せば間違いなく中の人が飛び出してくる。とても逃げきれそうにない。出てきたところを本気で殴る?いや怒鳴り声は一人では無かった、ならば開けた瞬間に謝る?俺は軽々と頭を下げたくない。いっそ正直に話す?今更無理だ時間が経ちすぎた。助けを呼ぶ?それも無理だ周りには誰もいない。ならば俺がとる行動はたったひとつ!
シグマはドアから手を離した。
途端に中からゴツイまるで山賊のような若者が5人ほど出てきた と同時にシグマは叫んだ
「おーい!君〜そこのドアを押していた君〜一体どこへ行くんだい?」
叫んでいる間にシグマは男達に囲まれてしまった
「外にはお前しかいないだろ一体誰に話しかけてたんだ?あーん?」
「いや、あの、そのですね。アハハハ...」
作戦失敗!他の人のせいにしようにも誰もいないため無理だった。それならば次の作戦だ!
「ふざけんじゃねー!このドアが引いて開くのか押して開くのかなんて分かるわけねぇーだろ!!引いて開けるドアならドアにそう書いておきやがれ!もう頭にきた!やってられるかってんだ!俺は帰るからな!!!」
シグマはそう怒鳴り散らし帰ろうとした
「おい!お前 話は終わってねぇーぞ!何帰ろうとしてんだ?」
「そうですよねぇ〜トホホ」
一か八かの賭けに出たがさすがにこの作戦には無理があったようだ
「おい!こいつをあの細い路地裏に連れていけ」
シグマは男二人に持ち上げられ細い路地裏に連れていかれた
「俺達が誰か知ってやったことか?」
「いや、あんたらのことなんて知らないね」
「だろうな俺達のことを知りながらあんなことをする物好きはいねぇ」
どうやらかなり面倒くさい連中を敵に回してしまったようだ
「お前はここで俺達のことを一生忘れられないほどボコボコにしてやるぜ」
どこかの、ガキ大将を連想されるセリフと同時に頬に大きな拳がめり込んだ。思わず倒れ込んだシグマに容赦なくパンチや蹴りをお見舞いされる。
どんどん意識が薄れていくのが分かった
シグマが死を覚悟した時
その声は聞こえた
「ここで...何をしている」
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