熱愛

kinu

may morning


初めての朝はびっくりした。


私は寮に住んでいる。しかも女子寮。それに、寮母さんもいるし、セキュリティは万全だし、どう考えてもおかしなことだってことは馬鹿でどんくさい私でもわかった。


一人で目覚ましを止めて、とりあえずテレビを点ける。これが私の平均的な一日のはじまり。だがその朝、私はテレビから流れる情報番組の占いで目覚めた。そして、彼の中途半端な黒髪を見た。


ウェーブというのは元々半端なものなのかもしれないが、彼のそれはおしゃれの側面からみてのものである。私もうねりやすい髪質であるから分かるのだが、彼はなんの手入れもしていないそのままの髪で生きていた。

決して洒落ていない、よくわからない髪型なのにそれが彼を良く見せていた。私は彼の髪が好きだった。染めていないそのままの黒だ。

その単純な好き、が私の彼に対する感情である。



だが、なぜ彼が今、私の部屋にいるのだ。

ベッドに寝転ぶ私をじいっと見て口を開く。


「南野さん!おはよ!

意外と寝坊とかするんだ。もうすぐで朝食の時間過ぎちゃうよ」



「あれ?寝ぼけてる?...おーい!南野さーん」



彼はいつものように優しい目で馬鹿にするような笑みを向ける。夢の中で、これって夢だなと感じる経験とはこういうことかと思ったが、どうやら今起きていることは現実のようだ。





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熱愛 kinu @kter8

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