会社に行かなくてすむように週一で魔法教室に通って破壊魔法学んでます。

奥田啓

第1話

「まだ終わってないってどういうことだよ?」

おれはうなだれるように

「すみません」と言った


「いやいやすみませんじゃなくてさ、もう納品間に合わねえじゃねえかよ

どうすんの?」

「…」



「なんかいえよ馬鹿野郎が」

デスクを強く叩く


「これで得意先ひとつ減ったらおまえに損害請求するからな」


「えっそんな…」



「はあ?おまえのミスだろ?おまえがケツふかねえでどうすんだよ」


「すみません…」


「馬鹿の一つ覚えみたいに謝ってんじゃねえよそんなのいらねえんだよ

はやく後始末しろ、動けトロいんだからよ。」


「わ、わかりました。」

おれは自分の席に戻る。

その途中見て見ぬ振りしながらチラチラとかわいそうなものをみるような目でこちらをみてくる。

いたたまれずに早足になる


くそ、おまえが全然チェックしなくて遅れたんだろうが

棚上げしやがってクソボケが。


後始末の業務を続けてたら12時をまわってしまった。

社内には自分以外いない。

もう家に帰る電車はない。

なんでいつもこうなんだ。

やりたいこともないし、なんの目標もないおれが何百と受けては落ちてを繰り返し、やっと入れた会社は

いつも激務、怒号が飛び交う焦げ付いた会社だった。

転職したいけど、外に出て他にこんなおれは雇ってくれる人はいない。

だからずっと続けている。

だけどいよいよ本当に嫌になってくる。

もういっそのことこの会社潰れねえかな。

もう日雇いでもなんでも食いつないで生きていく、そっちのほうが楽な気がしてきた。


終電はないし、どうしよう。

タクシーは高いし満喫で過ごすか。

なんておもいながら窓の外をみると

オフィスビルが連ねているとおりはチラホラと電気がついてる。

俺みたいな人がいっぱいいるのかな。

会社に馬車みたいに働かされて、利用されていらなくなったらポイされほなんて、ずっと上下関係が固定されたままだ。

なにかやり返したい。

電気つけっぱなしにしとくとか、

給湯室の水ずっと出しっぱなしにするとか。

こんな小さいことしか考えられない。

なんか怪獣がやってきて破壊し尽くしてくれないかな。

ああむなしい

とりあえず出よう。


駅近くには不夜城のように灯りが煌々と光っていた。

たしかここらへんに満喫が…

すこし裏の一階が居酒屋だったような…


あったあったここか。入居している店の案内をみる。

3階か

奥にエレベーターがあったので乗り込む。

だいぶ古いタイプだな。

こういうの急に落ちそうで怖いんだよな。

3階のボタンをおして、エレベーターの稼動音が聞こえるとともに上昇する。

3階につくと扉があく。

みえたのは中が真っ暗の店。

張り紙がある。


先月店じまいした旨がかいてあった。

うわ!まじかよ、したにかいといてくれよ。

しょうがない、他の満喫探すか。

スマホをとりだそうとしたら

もうひとつのテナントが目につく

シックでおしゃれな装飾な扉だ。

扉の中央に

「おとなからはじめる魔法教室」

とかいてあった。


ん?魔法?


もう一度よくみてるが


やはり「魔法教室」とかいてある

なかはまだ営業しているようであかりがもれている。

12時回ってもやってる教室ってすげえな。

というか、そういうコンセプトのカフェかBARなのかな?

そうだとしたらいい感じだけどな。

いいや、なんか喉乾いたし、冷やかしで入ってみるか。

シックなドアをあけると

おとなとうたうにはふさわしいほど落ち着いた内装になっている。

廊下をぬけると広い場所にでる。

木を基調とした受付スペースがあり、受付の女性がいたので店のことをきくことにしよう。

近づいていくと女性から声をかけてきた

「いらっしゃいませ」


「えーとすみません、はじめてでよくわからないんですが、ここはどういったところなんですか?」

「簡単にいうと主にビジネスマン向けの魔法教室でございます。」

にこやかにいうのでそうなんですかと受け止めそうになる。

しゃべる内容はあれでもその態度が相手の受け取り方に大きく影響をあたえるのだと勉強になるが、

そういうことじゃない。見過ごすことはできない。


「すみません、魔法…というのは…なんかコンセプト的なもので?」


いえ、普通に魔法です。



普通に魔法ってなんだよ…



「え、RPGとかのあの、魔法?」


おっしゃる通りです。

炎や風やといっま攻撃魔法から回復魔法なんかもやってます。

上級者には移動魔法なんかもやってます。



は、はあ…


おれの呆れをスルーして話を続ける



「我が校は日本初の魔法教室でございます。

校長や教師が魔法使いをやっておりまして、それを日本でも広めたい、そういったきもちからこの教室をオープンしました。」


何言ってるか全然わかんねえ

だけどこの女性はすげぇかわいい。


「えっと…どんな人が通ってるんですか?」


最近何か新しく始めたい、運動不足だ、新しい特技がほしい、そういう方ビジネスマンの方によくご利用いただいてます。」



色んなコースがありまして

攻撃魔法コース、回復魔法コース

能力値をあげたりできる補助魔法コース

上級魔法コースなどあります。



やばいもう帰りたい。なんなんだここ




あといまとくにビジネスマンに人気なのが会社破壊コースですね。




な、また物騒なコース作りましたね…



会社にしいたげられたりで嫌になった人が仕返しに習いに来る人が多いんですよね。



は、はあ…


そんなのできたらうれしいけど、さっきから本当非現実的すぎるな


「すみませんぼくちょっと帰りますんで…」


「あっいまから破壊魔法コースやるんでよかったら見学してください。」とむりやりつれていかれた。

でもこんな綺麗な人にいわれたら断れないよ。ずるいな。

まあ見るだけならいいか、どうせインチキなんだろうし。


廊下を歩かされ、ところどころに大型の金庫にあるようなものものしく頑丈そうなドアがいくつもあった。

「あの…これらは…?」おそるおそる聞くと

「安全面は配慮してレッスンはおこなわれますが、なにかあるといけないので教室自体もかなり丈夫なつくりになり、外にもれないようにバリアがはってますのでご安心ください。」

「はあ…」


一番奥の扉にいくとより大きな扉になっている。

「ここは人気なので人数がおおく、

大教室になってます。」

しかし扉が女性どころか男の俺でも開けるの大変そうなものにみえる


「これ女性一人であきます?手伝いましょうか?」

そういうと笑って

「大丈夫ですよ、自動ですからね。」

むなものにあった社員証のようなものを通すと、扉は自動的にあく。

「さあ中に入りましょう。」



なかは思ってたよりも広い教室になっていて

奥に先生らしき人と生徒が何十人かいた。

意外と人が多くてびっくりした。


見学席というところにあんないされた。

そこは透明シェルターのようなものがあり、座るスペースを完全に覆っていた。

なんかおおげさすぎるだろ

なんだここは



シェルターから声が聞こえる

どうやら先生の声らしい。



『という仕組みで訓練しだいで粒子レベルで粉々にしていけます。しかし今回は破壊されれた十分なのでそのレベルにしていきます。それではやりましょうか』

講義然としてるが内容は中々物騒なことをいっている。



『今回は大きな石を用意しました』というと突然講師の後ろから大きな石が現れた。

え?なんで?


めをこらしてみてなんのイリュージョンなのかわかりかねていた

さっきまであんなのなかったのに。


「砕けたもので怪我しないようにみなさんにバリア魔法をはっときました。それではいきますよ』

隣に座っている受付の女性がおっと体を浮かせる。

「魔法詠唱はじまりましたよ」

「え?」

講師が石に手を当てている。

なにやらわけわからない声がシェルターに響く。

するとカアッという声がしたとともに

まばゆいひかりがあたりをつつんだ。

ドオオオオオオオン!!!

爆発音が聞こえおれは身を縮こませた。

するとシェルターにドガガガガ!!!とぶつかる音がした。


それをみると石の破片だった。


あたりは煙に包まれていたが

すこしづつ晴れていき

すべてはれると

そこにあった大きな石がバラバラになっていた。

隣の女性になにがどうなったかきこうとかおをむけると

満面の笑みをうかべてこういった

「ね?すごいでしょう?」


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会社に行かなくてすむように週一で魔法教室に通って破壊魔法学んでます。 奥田啓 @iiniku70

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