魔神降臨
名前:刹那
種族:人
職業:剣士(侍)
レベル:7
HP:100
MP:240
STR:908(内全振りボーナス+200、サムライ+506)
VIT:0
INT:0
MIN:0
AGI:0
DEX:0
エクストラスキル:『神速を越える者』『必滅の眼』『ラスト・サムライ』
パッシブスキル:【刀LV16】【武器倉庫拡張LV1】【軽業(刀)LV21】【暗視LV22】【運動能力(刀)LV20】【必滅一閃】【サムライ】
アクティブスキル:【骨断】【居合抜き】【袈裟斬り】【ロール回避】【武器顕現】【神速】
街へ戻る道すがら、わたしはもう一度自分の能力を確認することにしていた。
そこで気付いたわけであるが……強くなりすぎたのではないだろうか。
いや、強いのは良いことなのだが他の者にこの能力を知られるとまずい気がするわけである。
エクストラスキルの取得条件のせいで、これも人には見せられぬ。
こういうものがある、という情報は役に立つかもしれぬが、厄介なことになるのは間違いないであろう。
「ふむ……どうしたものか」
思考を進ませるが、なかなか結論が出ぬ。
まぁこの際である。内緒にしておくのが最善であろう。
そう思い、メニューを閉じたときであった。
目の前に人がポツリ、と立ちすくんでいたのだ。
風貌は――真に暗い、という表現が正しいのであろうな。
全身黒づくめ。顔に目などはなく、ただただ黒い人型というのだろうか。そのような塊が蠢いている。
「――主、何者であるか」
何の気も感じぬ。
気配すらゼロに近い。
居る様で、いない。
そのような者である。
わたしが静かに問うた言葉で、ようやく奴は気を発した。
妙な気である。
すると、わたしの目の前に表示枠が出てきた。
――――――――――
イベント戦:災厄の魔物
強制決闘。
設定:決戦(どちらかのHPが0になるまで戦闘終了しない)
制限あり:回復アイテム使用不可
参考:適性レベル100
――――――――――
それからは、考える暇もない。
表示枠が消えた瞬間、決闘システムが発動したのである。
目の前には【Duel Start】の文字。その奥にはあの黒き塊が――居ぬ。
「【神速】!」
すぐさまスキルを発動させ状況確認にうつる。
上か、下か、右か、左か。
わずかコンマ1秒で把握するが、彼奴の凶刃はわたしの予想だにせぬ場所から伸びた。
「――……――」
そう、目の前からいきなり現れたのだ。
おそらくあの黒き塊が繰り出したであろう、日本刀の切っ先がわたしの喉元に突きつけられていた。
わたしの皮膚に届く寸前で振り払うことに成功するが、彼奴はそれではあきらめなかった。
(一体どのような動きをすればあのような芸当ができるのだ!?)
二、三度打ち合う。わずか一秒でだ。
こちらが神速を使っているというのに、奴はわたしと同等の速さで動きよる。
「――……――」
わずかに、声が聞こえた。
すると――またである。
姿が、消える。
(下手に動いて当てが外れたときのリスクが大きすぎる。突破口を見つけなければ)
次は、正面からではなく右下からであった。
今度もぎりぎり避けることに成功した。
すると奴は、あろうことか姿を消さずに正面から切り結んできおる。
――ガキィン!
刀で奴の攻撃を受けると、さながら爆発音のようなすさまじい音が鳴り響く。
黒い塊である奴の姿は、ところどころあのスキル――必滅の眼によって弱点は分かるのだ。
アレを斬る事ができれば、一撃で勝負は決まる。
だが、そう易々と勝負を決めさせてくれるほど、目の前の敵は甘くはない。
「くぅ、主、なかなか良い太刀筋であるなっ!!」
言いながら、十二度、切り結ぶ。
斜めに、縦に、横に。
縦横無尽に切り結ぶが、わたしはそのすべてを弾き、その刃を拒絶する。
その時間が、非常に長く感じる。
神速の効果時間は五分。残り時間は二分。
この間に決めねば、わたしは必ず目の前の彼奴に斬られるであろう。
絶体絶命のこの窮地。
どんな手を使っても、先回りをして刀を突き入れても、彼奴は全てに対応してきおる。
もう、わたしが負ける道筋はつけられているのだと教えられているような感覚に陥ってしまう。
「ふはっ、フハハハハハ!」
何故、なのであろうか。
そんな状況にも関わらずわたしは――笑いが止まらぬ。
「その殺気、良い! 良いぞ! 先ほどの無気力な塊ではなく、主はわたしを斬ろうと意志を持ったのだな!!」
自らで何を言っているのかなど、もはや頭にはない。
昂ぶる己を、抑えきれなくなっていた。
久方ぶりの、本物の命のやりとり。
わたしと同等、いや、それ以上の刀の技量の持ち主に出会うのは初めてであったことも関係しているのか。
気付くとわたしは、どうしても彼奴を斬りたくなっていた。
――突破口なぞ、なくても良い。
「斬るぞ、わたしは主を斬る!」
思いのまま、体を動かす。
思いっきり彼奴の刀に打撃を与え、距離を取る。
そして――構える。
神速の残りは三十秒を切っているが、そんなことは関係ない。
「雷光一閃――この一刀に全てを賭ける」
全身のすべての意識を刀の切っ先にもってゆく。
これが失敗してすべての感覚を失くし、死にゆくのであればそれでも構わぬ。
「――…」
「我が必殺の一撃、受けてみよ」
意識が極限まで高まり、色が失われ、景色が灰色になる。
音は聞こえぬし、肌を撫でる風の感覚もなし。
だが、切っ先が感じる風の風圧は、手に取るようにわかる。
奴の刀と、わたしの刀が交錯する。
わずかに触れたとき、わたしは全身をわずかに震わせ、最小限の動きで奴の刀を弾き飛ばした。
わたしの刀の切っ先は未だ、奴の身体の真ん中――光の線が見える、弱点をさしていた。
瞬時に、一歩――踏み出した。
ズブリ。という確かな感触。
人斬りの感触である。
あまりの懐かしき感覚に、涙がでそうであったがこらえる。
今は奴の命を奪わねばならぬ時よ。
浅く突き刺した刀は、瞬時に奴の身体を貫いた後彼奴の右腕を斬り落とした。
そして――わたしは彼奴の首をはねる。
十二本ほどあった、彼奴のHPバーはすでに空になっており、砕け散った。
だが、なおも残る彼奴の身体は、なにかをわたしに訴えかけているように見える。
敵であれば、死んだ瞬間蒼い光につつまれ消え去るはずである。
神速の効果が消えた後、その謎は解けた。
「ヤ ハ リ キ サ マ ガ フ サ ワ シ イ」
奴がそう言い残した後身体は消え去り、決闘に勝利したというメッセージが表示された。
――――――――――
イベント戦に勝利しました
獲得経験値――0EXP
獲得金――――0G
獲得アイテム:雪月花(刀)
――――――――――
――――――――――
エクストラスキル取得『魔神』
効果:パッシブスキル【魔神】習得。
【魔神】(majin):其の魂は既に魔の神となった。故に肉体という死に意味はない。魂を吸い、己がものとせよ。
取得条件:????
残魂:254
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