第二問〜家族〜
ウチの家族は父母妹俺の四人家族だ。
両親は共働き(二人とも公務員)
妹は中学3年生だ。
両親共に公務員とだけあって、二人とも朝8時に家を出て、だいたい6時には帰ってくる。
妹は受験シーズン真っ只中とだけあって、かなり神経質になっている。
夕飯はいつも四人で食べるが、皆妹を刺激しないように最低限の会話しかしない。
一度、食事中に妹に会話をふったことがある。
その時は殺意のこもった眼差しで睨まれ一言「黙れ」と言われた。
他にも食器を撮りに近くを歩けば「近づくな」
通りすがりに肩が当たれば「触れるな」
妹の部屋前を通ろうものなら「歩くな足切るぞ」
一瞬場が凍るほどに衝撃的なことばかり言ってくるため、親すら気を使うようになった。
という訳で食事中。
「今日は現場でたぬきが出てな、大騒ぎになった」
父は文化財センター務め、
古墳や遺跡を発掘したり出てきた物を研究、発表したりしている。
今は近所の山を発掘中らしく、よく野生動物と出会うそうだ。
「ヘェ〜、でもそこはクマがよかった」
俺はクマさん人形を収集するのが趣味なのだが、本物のクマさんも大好きだ。
「ほんとにジローはクマが好きね、今度動物園にいきましょう」
母は保育士。
俺はもう高校生であるが、母にとってはそんなこと関係ないみたいだ。
いまだに対応が幼稚園の時と変わらない。
「うん行く」
これがウチの食事中にする雑談だ。
なんでもない一日の出来事から事件まで、なんでも話す。
「残念だが、熊はまだ出てないな〜、サルとイノシシは出たんだが」
それはそれですごいが、残念なのは確かだ。
「ならお父さんも一緒にいきましょうクマを見に」
「うん行く」
父も、母には弱いのだ。
「そうだ。ヒナもいきましょう」
「「――――っ‼︎」」
母の能天気な誘いに俺と父は同時に戦慄するのを感じる。
ヒナとは妹の名前だ。
先も述べたが、妹は受験真っ只中。下手に刺激しようものなら親でもしばきかねない、とても不安定な時期だ。
俺と父は、そんなヒナを下手に刺激してしまった母の安否を心配して血の気が引く。
「……行く」
「「…………」」((まじか))
二人の心の声がシンクロしたのを感じた。
父もたしかこないだ、
「ヒナちゃんコンビニ行くけど一緒に行く?」
と聞いて、「いや」
心底冷たくあしらわれていた。
相当ショックだったみたいで、その日一日わざわざコンビニに行ってまで買ってきたタバコに一本も手を出さなかったほどだ。
なのに、
「そ、そうか〜、ヒナも行くか〜」
なぜこっちを見る?
言葉を選んで喋っているのは分かるが、俺が口を聞くのは地雷だぞ?
やめてくれ父さん‼︎
「たまには気分転換もいいかなって」
「そうよねー、じゃあ今度の日曜日、久しぶりに家族みんなで動物園へ行きましょう‼︎」
「みんな……」
(チラッ)
………だからこっちを見るなて、
ヒナまで何か言いたげにこちらを見てきた。
こうなってはもうこの場を黙ってやり過ごすことはできそうにない‼︎
だからといって、ここで俺がしょうもないことを言ってヒナの機嫌をそこなうようなことになれば、それこそ母の機転も水の泡だ。
どうする?何を言えばいい?
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