Ⅴ.まとめ

 以上のように、国家を動かす人工知能の導入にはまずは国家及び日本社会自体が変わらなければならない。すなわち社会決定論的思考である。人工知能は人の道具として存在するべきであり、自由意志を持ってはならない。たとえ自由意志を持つにしてもその判断は副体として扱うべきであり主体は人にあるべきである。

 そうして起こり得る変化は、人が人工知能の決定を受け入れ信頼することである。人が人工知能を意識する社会において、人は他者を常に意識するのか。違うだろう。


 この課題で求められていたものは、現代社会に国家を動かす人工知能が導入されたという前提で、導入されていない現実と、現実の状況に加えて導入された架空状況を比較することだったのかもしれない。だが、その変化は比較に値しない。新技術が導入されるまでにはそこに至るまでの道筋があり論理がある。それは歴史であり、人が変化させていった社会の変化である。技術導入の環境が整えられていない社会に技術を導入することなどあり得ない。

 また、過去に技術が発展していたということでも、環境が整ってから人工知能の導入は進むのであろう。その場合は現代の技術のいくらかが人工知能と引き換えになっている可能性もあり、一概にいかなる世界とは推測ができない。なのでここでは取り扱わない。

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