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「やっと着いた………」
出発してから山の中を約一時間程歩き続け、途中何故か石が飛んできたり落とし穴が仕掛けられていたりとトラブルがあったけど、無事に到着できた
「あの糞野郎…俺等が来るの分かっててあれ仕掛けてやがっただろ」
「途中でカメラ見つけたからそうだろうね」
「後でぶち殺しても別にいいわよねぇ……」
「いい考えだな。殺すか」
普段なら皆を止める竜兄まで殺気を見せている…けど誰も怪我したりしていない、皆が避けやすいように仕掛けられてた
それに此処に来るまでにあったトラップは全部、目印が分かりやすい場所にあったからほとんど事前に回避できた
「大変だったけど……皆がそんなに怒ってる理由が知りたい…」
「はぁ!?此処に来るまでにあったこと全部!!」
「……そう。」
まだ理解できない……早く普通を覚えないといけないのに難しい
「あー早くお風呂入りたい…泥だらけになっちゃったじゃない」
「じゃあ、さっさと中入ろうか」
中に入ると言っても一体何処から入るのかが分からない……この建物を見ると入り口がどこにもない。門の外から窓は見えるけど、その門自体に入る場所がないし、門からこの建物全体に結界が張られている
「クロ、何処から入るの?」
「ん?あぁ凛はこのタイプは始めて見んのか。簡単に言うと、術式で扉を出す……みたいな感じかなぁ」
「隠し扉みたいな感じ?」
「そうそう。スイッチの替わりが術式になったみたいな」
「今からやるからちゃんと見ててね」
会話が聞こえてたのか、ウインクをしながら門に手をつくとそこから一気に文字が流れ出した
何かを唱える訳でなく、ただ手を置くだけで術式が展開されていくのを見ると唯兄の力の強さが伝わってくる
ほとんどの場合、言葉と文字式で術を発動させるのにその段階を全て飛ばして発動させるのは至難の技だ
「やっぱり、あれでも隊長だってこういう時だけ実感できるわね」
「……うん。唯兄は凄い人」
薫姉もいつもは馬鹿にしているけど心の奥ではきっと唯兄に一目置いていると思う
(……他の皆も、かな)
文字がどんどん綺麗に扉の形を作り出していく光景を見ていると不思議なものが沸き上がってくる
胸がふわふわして、何故か落ち着かない
これを"綺麗"だと思う感情なのかな?
「ほいっ。終わりー」
唯兄の声が聞こえて門を見てみると、そこには大きな文字の扉ができていた
「さて、じゃあ中に入ろうか」
「……うん」
「あー会いたくない」
「帰りたい」
「とりあえずお風呂が先ね」
「だな」
この時に気づくべきだった
そうすればあんなことにならなかったのに
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