stay gold

近頃では最期まで変わりなく燃え続ける安定の線香花火なんていうのがあるんだって。

だけどそんなの、まったく魅力の欠片も感じないわ。


わたしが小さな頃から知ってる線香花火っていうのは、淡く儚く繊細で、いつ命尽き果てるかもしれない短命なかげろうのよう。

まるでわたし達ティーンエイジャーの女の子の青春そのもの。


純真無垢な乙女心は、いつだって悩みが尽きなくて、たえず揺れ動いているものなのだもの。

だから朧げな美しさで煌めく光を放つ時もあれば、突然小さくしぼんで今にも消え入りそうになっちゃう時もあるのよね。


花火袋の最後に残してたとっておきの線香花火を、仲良し友達で一人一本ずつ分け合うの。

皆で輪になってろうそくの炎を囲んだら、思い思いの願いごとを心に秘めながら、つまんだこよりをかざして火をともす儀式の始まり。


めっちゃめちゃ遊んだ1日の終わりに、楽しかったこの夏の思い出を名残惜しみながら、微かに燃える火花を見つめているとなんだかよくわからないけれど、胸の奥の方がキューンと切なく締め付けられちゃってさ。



それは何もわたしだけじゃなくて、その場にいたみんなも同じみたい。

すっかりセンチメンタルな気分になっちゃって、これって一種の集団催眠なのかな?

でもなんかこういうのも悪くない。

ついさっきまでペチャクチャペチャクチャとそれはかいがいしくにぎやかしかった乙女達が、一様に口をつむいでおとなしくなったおかげで、夜本来の静けさがこの場に戻って来た。

ひそやかにパチパチと弾け鳴る破裂音だけが、夜の静寂に囁きあってる。


この独特の雰囲気が大好きなんだ、わたし。


長かったはずの夏休みも終わりが近づいてる。

ワビサビの風流ってゆうの?

まもなく訪れる有終の美をこのピチピチのお肌でひしひしと感じちゃうの。


吸いこんだ煙の薫りで肺の奥がちょっぴりひりついてコンコン息苦しい。

瞳が泪で潤んできちゃったのは、はてさて本当に煙たいせいだけかしらね?

この線香花火を眺めている短い時間てさ、人間の人生のごくごく限られたほんの束の間を灯影した縮図を垣間見ているみたい。

いまのわたし、哲学的じゃない?なーんて考えてたら、



……ポトリッσ(´;ω;`)あ~~あ、お・し・ま・い。




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