照らす日(仮)
@yumimoe
第1話
そう、あれは雨が続いてた夏のある日のこと。その日は珍しくかんかん照りの猛暑日で、それでもわたしは晴れたことが嬉しくて写真を撮りに家を出たんだった。あなたは優しい顔で、まるで動物でも愛でているかのような目をして、真っ赤な消防車を丁寧に拭っていた。
*
陽子は横顔にスッと吸い込まれるような感覚に陥った。気づいたときにはシャッターはもう切られていた。
シャッターの音が響き、我に返り声をかけた。
「急にごめんなさい、お邪魔しましたよね。」
すると消防車を拭っていた手を止めてからクシャっと笑い陽子へ問いかけた。
「どんな写真が撮れたんですか?」
訛りの入った標準語だった。
「あなたと真っ赤な消防車、両方ともとても綺麗に撮れてます。」
「晴れた日はこうやっていつも拭いてるんですか?」
彼は首を少し傾げるようにして少し考えると、やっぱりまたクシャっと笑って小さく頷いた。
「じゃあ晴れた日に写真、持ってきますね。」
陽子は最後に微笑み、会釈をしてからこの場を去った。さ
後日写真を持って消防署へと向かった。
照らす日(仮) @yumimoe
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