汚れた町で信じる希望 2

 未菜、小学校3年生。


 私は学校で、空気の読めないやつとして、ある意味有名だった。


 意味が分からない。私は正直に言っただけなのに。


「わぁ!有佐ちゃん、新しい服、買ったの?」

「どうかな?似合ってる?」

「うん。似合ってるよ!」

「ありがとう!」



「……全然似合ってないし…。」ボソッ



「?未菜ちゃん、何かいった?」


「別に……」スタスタスタ




「ちょっと、有佐ちゃん、あんなのに相手しなくてもいいって!」

「……でも。」

「そうだよ!あいつさっき、有佐ちゃんのこと、似合ってないって言ってたし……」

「有佐はあいつと関わんない方がいいよ。」

「………………」






 こうなるのは分かってなかった。


 いつも教室でこんな会話が繰り返されている。……らしい。


「………私は、間違ってないよね。」


 そう言い聞かせることしか出来なかった。


 私は、自分がどんどん嫌われていってることに、薄々勘づいていた。


 だけど、嘘をつくことは、どうしても出来なかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る