幕間

第1章人物まとめ/第2章プロローグ

※第1章のストーリー内容を含みます。未読の方はご注意ください。


《第1章 幕開けの章/人物まとめ》


■僕(兄)

 高校生。妹と二人暮らし。

 幼い頃に父親から虐待を受けたことが原因で脳内殺人が趣味に。しかしその趣味を周囲には隠し、あくまでも普通を装って生活している。

 日課である死体探しの最中に男と出会い、さらには死体となった父とも再会する。不本意ながら男とはTEL友に。

 戦闘能力は高くないくせに、趣味のためなら怪しい人間にもほいほい付いていっちゃう系男子。


■妹

 中学生。兄と二人暮らし。

 両親のことはよく覚えていない?

 僕曰く、どこまでも平凡であり、そして無垢でもある。兄の趣味のことは知らない。

 靴下無くしちゃう系女子。

 体調不良で叔父の看病のもと、眠っているはずだが?


■男

 若くは見えるが年齢不詳。

 エンバーマーとして会社経営をする裏で、自ら死体を収集して芸術作品に仕立てる。人が絶命する瞬間を見るのも好き。すなわちクレイジー。

 僕のことを気に入っている?


■叔父

 兄妹の父の弟。長身眼鏡。基本的に敬語口調。

 幼い兄妹を引き取った母(兄妹にとっては祖母)の死後、彼らの保護者となる。

 仕事の都合上、一緒には住んでいないが金銭的な援助のほか、たまに実家である兄妹の家を訪れる。

 兄妹のことはいつでも見守っているらしい。



■父

 兄妹の父。叔父の兄。

 妻に暴力を振るい、妻逃亡後は息子である僕を虐待。

 10年前に失踪したが、実は男の初めての作品となっていた。


■母

 兄妹の母。

 夫の暴力に耐えかね、罪の意識はあったが子どもたちを置いて逃亡。



■クラスメイト

 僕の隣の席のクラスメイト。野球少年。大きな瞳で幼い印象。

 僕の様子を不審がって話しかけるも、実はその間僕によって頭の中で殺されていたことなど彼は知る由もない。




――本当に狂っているのは誰なのか?




    ※




《第2章 プロローグ》




 風が鳴いていた。


 昼間の喧騒が嘘のように寂れた、町の小さな公園――の奥。

 人の手がほとんど加えられていない、草木の生い茂る場所に僕はいた。


 陽が昇っているときでさえじっとりと影を落とす鬱蒼とした木々は――人々が寝静まった今、空を覆う闇に一つ、また一つと同化してその境界線を無くしていく。


 まるで巨大な一体の怪物のように。


 それら不揃いな木々は風が吹くたびにと蠢き、その大きな体躯を伸縮させる。


 台風が近づいていると朝のニュースで言っていたことを思い出す。

 数時間後には雨がいろんなものを洗い流していくのだろうか。


 ザアッと一際強い風が落ち葉を巻き上げ、闇の中へとさらっていく。

 それとともに咆哮を上げた怪物は、飢えを訴えていたのかそれとも――。



「僕だってちゃんと……殺せるはずなんだ」



 その闇の中心で、僕は。


 右手に握るナイフの感触を確かめながら、地面に横たわりピクリともしない小柄な物体をただただジッと見下ろしていた。

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