最終電車

東林有加里

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「ねえ、なんでよ……」


 若い――たぶん大学生くらいかな――黒で統一されたライトなゴスロリファッションの女の子がうずくまって、人の輪ができている。

 肩を震わせ、「謝ってるじゃん……」とくぐもった鼻声は、はて、花粉症の時期はもう二ヶ月ほど前に終わったはずだけれど……? などと白々しく嫌味を言いたくなるほどには、電車は混雑しているのだった。

 人前で泣くなとは言わないけれど、混雑した電車で座り込むなと言いたい。いや、やっぱり泣くのもよした方がいい。

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