応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 企画参加ありがとうございます。けろぬら(徘徊中)です。

    過ぎ去った在りし日の懐かしくも儚い思いと幼さ故のままならない恋模様、それを幼馴染達それぞれの目を通してオムニバス形式で展開されていく。

    と言うのがお話を紹介する上で書かれる内容でしょうか。

    しかし、実際は春斗と善司の兄弟、そして忘れ得ぬヒロインとなった真緒の三人が織り成した物語でした。
    そこに彼等を取り巻く幼馴染達との関係が物語に厚みをもたせ、それぞれの視点から過去と現在が語られることで、時間の経過と心の成長を感じさせるアクセントとして機能しています。

    個人的に、このお話は境界と言うものを顕わしているのかな、と解釈しています。
    人と人の物理的な境界、社会における個人との境界、心の中の境界、そして概念としての境界が複雑に絡み合い、時には近づき、時には離れ、人との関係を形作っていきます。
    その分水嶺は境界に含まれる不純物により、傷ついたり癒されたり、心に蓋をしたりと、本来あるべき姿を捻じ曲げ、登場人物達をさいなみます。大事な物はなんであるのか本当はとても簡単に判ることをその不純物は雲を掛け、そこに辿り着くまでの道のりを過たせています。
    不純物は若さであったり、本人がもつ性質であったり、生きてきた中で造り上がった観念であったりと、色々です。

    時の流れを経て、彼等が辿り着いた答えは、幸せと少し切なさを帯びていました。
    答えに辿り着くことこそが正解であり、出した答えはどれも正しいものでしょう。
    たとえそれが取り返しのつかないものだとしても平等に。

    春斗と善司はそれぞれ対照的とも思える結末を迎えますが、本質は同じなのかな、と。
    それぞれが、そこに残る温もりと、遠く離れた温もりに寄り添う様に生きていくのでしょうから。


    勝手な解釈でこれ以上文面を汚すのも何ですので、この辺で切り上げたいと思います。

    乱筆乱文失礼しました。
    それでは。

    作者からの返信

    けろぬらさん、読んでいただき、コメントしていただいてありがとうございました。
    読み込んでいただけたようで嬉しく思います。

    振り返って思い出す恋は、本人の解釈で大きくその色を変えます。
    美しい思い出として心に蓋をして振り返り続けるのも、あの頃良い過ごし方ができたと前向きに捉えるのも、あるいは思い出すのもイヤと思うのも、全ては過去をどう捉えるのかという本人の性質と相手との関係性なのかな、と思います。

    そしてご指摘の通り、そこには境界という、他者と自分は同一でないという人間ならば逃れえないファクターが存在します。
    また、自分はこうである、という理想や願望も境界として自分にも他人にも線を引いてしまいます。

    時間でしか癒えない物があり、時が経つ事で捉え方も変わる。
    春斗と善司の対比が最も顕われているのがそこであり、また、だからこそ似ている部分も際立っているのかなと思います。

    けろぬらさんに評価いただいた事で、改めてこの作品のテーマやメッセージ性を見つめ直すことができ、作者として貴重な経験をさせてもらいました。

    拙作を読んでいただき、改めてありがとうございました。