素晴らしい世界

東林有加里

プロローグ

 高校を卒業して以来、まったく連絡を取っていなかった友人から突然実家に電話が掛かってきたのは二日前のことだった。

 電話を取り次いだ母親は、ボクに受話器を渡すときに訝しそうな顔つきのまま小声でつぶやいた。

「高校の同級生のアサノくん。……ずいぶん丁寧な話し方だったけど、変な宗教の勧誘じゃないでしょうね……?」

 余計なお世話だった。

 とりあえずそんな母親を無視して受話器を受け取ると、妙にテンションの高い口調でノブは呑みに行かないかと誘ってきた。

 特に断る理由もなかったボクは、金曜の夜なら、と快諾した。

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