Once Upon a Time

第1話 序章

　それは昔、昔のこと。

　あるところに、お爺さんとお婆さんが暮らしていました。

　お爺さんは山へ分け入り

　お婆さんは川で水を汲み

　与えられる恵みに感謝を忘れず慎ましやかに過ごしていました。

　そんなある日のことでした。

　川で洗濯をしていたお婆さんの目の前に、どんぶらこ

　どんぶらこっこと

　それはそれは大きな桃が流れてきました。

　お婆さんが大きな桃を持ち帰ると

　お爺さんもまた山から帰ってきました。

　なんとその手のなかには、金色に光る竹筒が抱えられていました。

　この日、子宝に恵まれなかった二人に奇跡が起きました。

　割った桃からは珠のような男の子が

　竹筒の中からは美しく光を湛える女の子が現れたのです。

　男の子には桃太郎という名を

　女の子にはかぐや姫という名を与え

　二人の子として惜しみない愛情を注ぎました。

　お爺さんとお婆さんのもとで、桃太郎とかぐや姫は兄妹としてすくすくと成長していきました……。