神よ。
オールスタンディングのライブにおいて、最善というのは、色々な意味をもつ。
ライブによっては、サビの度に後ろの人々の愛を受け止め、物理的圧力に潰されそうになりながら、自分も負けじとアピールしたり。
ライブによっては、アーティスト(神)が近寄って、手を差し伸べ、我々ファンが図々しくも神に触れることを許してくださったり。
人によっては、前に誰もいないのをいいことに、髪をそりゃもう振り乱し振り乱し、見事なV字を描いたり、タケ〇プターの如く飛んできいそうなほど華麗な円を描きまくったりする。
要は、ガチ勢の聖域。
後ろから見ているだけでも、最善の方々のプロレベルのヘドバンに見惚れること多々。
私だってそりゃ、ヘドバンぐらいするさ。でも、自分のヘドバンが周りからどー見えるかなんて、わかりっこない。
少なくとも、芸術的なまでに美しい彼らとは、比べ物にならないだろう。
ていうかそもそも、背の低い私が、なんの障害もなく神を直視できるのなんて、初めてだ。
緊張で、胃が変な音を立てる。
あ、ちょ、やばい。
そんな時目に飛び込んできた、隣の人の、バッグについたキーホルダー。
バンド名にあやかりヴァンパイアの苦手なニンニクをモチーフにした、7年前の公式キーホルダー(1stアルバム初回限定盤特典、ランダム封入のシークレット、激激激レア。そもそも初回盤自体が少ない)。
ちなみに、私もバッグにつけている。
持ち主であろう隣の人、やたら背の高い男性の顔を見上げてみると。
前髪には、バンドのヴォーカルとおそろいの赤エクステ。
ちなみに私も入れている。
右目の横には、ヴォーカルと同じ蜘蛛の巣のタトゥーシールが。
もちろん私もつけている。
そしてついに、目が合う。
ヴォーカルと同じ、赤いカラコン((以下略
手をつかみ合って、同時に叫ぶ。
「「同士よ!!!!!!」」
次の瞬間、照明が落とされる。
一瞬で手を解き、揃って吠える。
「うぎゃぁぁぁぁぁあああああああ゛」
「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお゛」
その後のことを言うと、こののっぽがやたらとハイスペックで、以外にも同じ大学に通っていて、二人とも楽器をやってて、ヴァンパーのコピーバンドしたりして、まぁ結局は。。。
そんな感じで。
「うぎゃぁぁぁぁぁあああああああ゛」
「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお゛」
やっぱりヴァンパーは、紛うことなき神であった。
完
最前って、良いよね。 Amane @amane063027
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます