くらげと少女

海月 雨鷺

第1話 くらげみえないのかしら ?

 あたしはくらげが見えるの。なんでかしら ?ママもパパも病気だといいます。

 ママは同じところを行ったり来たりしながら

「何科の病院にいけばいいのかしら…」

 と、同じことしか言いません。あたしもパパもお腹がすいてきてしまうわ。


 でも、パパは怒ることしかしません。ママを思いきり叩いて「いい加減にしろ。」と。

 今度はあたしのほうを見て、ビンタをしたあとこう言いました。

「お前もいい加減目を覚ませ。海月なんかいないんだ」

 あら、ぱぱにはあたしが寝ているように見えたのかしら ?

 パパは、少し目が悪いのかもしれません。

 どうしてみんなには見えないのかしら。

 この間は、保育園のお友達にも笑われてしまいました。それでもくらげは、ぷかぷか泳ぎます。

(いいな、あたしも空を泳げたりできないかしら)

 そうはいっても、たけこぷたーみたいなものがないと、空を泳ぐのは少しどころが、すごく難しい。


 今日は、お買い物に行くの。はじめてのおつかい」。

 一人でお買い物は初めてだから、ママも少し心配しているみたいだけど、あたしだってもう4歳なんだから!きっと変な人になんかついていかないわ!保育園の先生が教えてくれたんだから守らないと、怒られちゃうわ。先生は怒るとものすごく怖いのよ。みんな泣いてしまうの。でも、4歳にもなって泣くのは、ちょっと恥ずかしいから、いつもニコニコ笑うようにしてるの。えらいでしょ?

 こんなあたしならきっと、すぐに帰ってこられるわだいじょーぶ !!


「ありがとうございましたー」

「どーいたしまして !」

 お店を出るときにありがとうって言われたから、どーいたしましてって言ったのよ。ママは無視してるけど、それって少し、てーいんさんかわいそうよね。


「それにしても」

 お家の中より、お外の方がたくさんくらげがいるのね!あたしあまりお外遊び好きじゃないから、あまり気にしてなかったけど、こんなにおともだちがいたら、お外遊びもたのしそうだね。


 ふと、くらげを見るとくらげはみんな同じところにかえって行きます。

(くらげも、おうちがあるのかしら… !)

 ちょっと…ちょっとだけなら遊びに行ってもいいわよね…?だって、知らない人じゃないもの。いいに決まってるわ ! !


「コンコンお邪魔しまーす ! ! 」

 ノックするドアがなかったので、口で言ったけど狐みたいになっちゃた。


「だれだ ?お前。」


 奥に行くと、お兄さんがくらげと遊んでいました。


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