かんながら たまちはえませ

鯊太郎

はじめに

【あらすじ】

 この物語は、ある日突然、頭の奥に奇妙な声が聞こえて来たという、ひとりの青年の話である。

 この青年、名前を『芹沢拓斗せりざわたくと』という。少しの歴史おたくということを除けば、何処にでもいるような普通の高校二年生。

 しかしある日をきっかけに、この青年には神の声ならぬ、「殿をその手で殺せ・・・」という謎の声が聞こえてくるようになる。


 悩む青年。

 そして数日後、再び青年の前には一人の学友が現れる。その斎藤君は、何やら不思議な呪文でその悩みを解決するのだという。

 斎藤君と共に向かった公園には、これまた怪しげな人影が・・・


 呪文が始まる。

 戸惑う皆んなを尻目に、斎藤君の言葉に従う青年。ところが・・・



 なんと青年が目を覚ますと、そこは天正十年(1582年)の三月、そう彼は、あの『本能寺の変』の三か月前にとタイムスリップをしていたのである。

 動揺を隠せない青年。どうやって、この戦国時代を生き延びればよいのだろうか? それに、どうしたらまた現代へと戻ることができるのだろうか、またまたその頭を抱える。


 ところが、どうやらタイムスリップをして来たのは、この青年だけではなさそうなのだ。

 現代語が話せるという妻木貞徳つまきさだのりは、何故か他の者の前ではしゃべれない振りをしている。でも彼の顔、どっかで見たことが・・・ 

 そうかと思えば、レポート用紙を懐から取り出すや、その青年に読むようにと迫る武将が。えっ、たしかあなたは・・・

 また噂では、あの黒田官兵衛も何やら不思議のじゅつを使うらしい。果たしてその者たちは、敵なのか味方なのか?


 そして、ついに青年の前にと現れるメインキャストでもある織田信長と明智光秀。

 しかし、その光秀はコケにされるどころか、信長に心から信頼されている。これでは、あの『本能寺の変』は起こらなくなってしまうではないか! そうなれば、歴史の時間軸にひずみが生じてしまう! 


 心配事は、こればかりではなかった。

 ある日、謎の薬売りが青年の前にと姿を現す。いかにも怪しそうなその男は、あの黒田官兵衛の手下だと言う。どうやら次から次へと巻き起こる事件は、その能面な顔をする男の仕業であるらしい。青年にとって大切な人が、一人またひとりと倒れていく。

 そして、ついにその男と決着を着ける時が来た。怪しい術を使うその男に、はたして青年は勝つことができるのだろうか?


 そんな中、青年はひとりの美少女と知り合い、互いに心と身体を求めあう。しかし、所詮二人が住む世界は違うはず。現実と真実の狭間に二人は悩む。

 ましてや、童貞の青年にとって、その危なげな恋の顛末てんまつとは?・・・


 あーっ、そんなことを考えているうちに、天正十年六月二日がまじかに迫って来た。

 ここまでは史実通りにと事が運び、明智光秀は羽柴秀吉の援軍の為、明日には戦勝祈願を兼ね愛宕神社へと詣出ることに。

 しかし、いったい『本能寺の変』は誰が起こすというのだろうか? 

 明智光秀? 徳川家康? 羽柴秀吉? それとも・・・ 


 そして、いよいよ『本能寺の変』は始まった。

 鳴りひびく鉄砲の音。無数の矢弾の中を飛び交う数多あまたの怒号と歓声。その時、信長が見た旗指物はたさしものは、あの桔梗紋だったのか・・・ 


 六月二日辰の刻、たくさんのむくろを築き、その戦いは終わった。本能寺の空に、黒煙が天高くと登って行く。

 本当にこれで、歴史は再びちゃんと繋がって行くのだろうか?


 そしてまた、青年は無事にこの令和の時代へと戻って来ることが出来るのだろうか?・・・




【作者より】

 作品は、全80話(完結)を、5月1日より、毎日1話ずつ更新するつもりです。

 1話あたり3000文字程度ですので、通勤やコーヒーブレイクなどに読んで頂ければと思います。(是非、懲りずに80回お付き合いくださいませ・・・)


 また、ご感想やご指摘をいただければ幸いです。


                                  鯊太郎はぜたろう

 

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