羽のある生活
にゃべ♪
予知夢を見る少女
第1話 不思議な出会い
私の名前は
それは……予知夢。
いつでも見られる訳じゃないけど、見た時は100%当たる。100%よ!100%!すごいでしょ。
今までに懸賞や宝くじが当たる夢を見てみんなその通りになってきた。
この予知夢のいいところは決して悪い夢は見ないところ。今までがそうだったしこれからも多分そう。だからこれからも予知夢を見るのが楽しみなんだ。
予知夢を見られた日は朝からテンション高いよ!
そんな訳で最近私はまた予知夢を見たんだ。その夢のお告げに従って、今日私はバスに乗って隣町の某山中へとお出かけ。今回の夢はちょっとスケールがでかいよ。
その山中でね、私はお宝を見つけるの!そう言う夢を見たの。この夢は当たる!
山でお宝と言うと埋蔵金とか思い浮かぶけど、ああ言うのって結局出ない事が多いよね。それどころかさんざん掘り尽くして結局出ませんでしたぁ!って言うのがお約束だったりして。
でもね、私の夢に出るって出たからにはそれはないの!絶対なの!出てくるの!
夢を見た私はしっかり準備を整えて、休みの日の今日に出発した訳だ。だから今日の私はテンションかなり高いよ!
ブロロロロロ……。
山の近くのバス停についてバスから降りると、そこには何の変哲のない風景が広がっている。夢で見た景色と一緒だ。さあ、いよいよこれから私の冒険が始まる!よし!行くぞ!
気合を入れて山に向かっていると、目の前に見た目私と同じくらいの年格好の少年の姿が目に入った。どうやら少年の目的地も私と同じ山みたい。もしかして同じお宝を狙っているとか?まさかね……。
しかし先行する少年はまるで私の行動を先読みするかのように山に入っていく。それを見て私は少しだけ嫌な予感がしたんだ。
ただ、観光用の山ではないとは言え、その山をお宝目的に山登りするなんて事は普通ありえない。だからきっと彼はただ登山が趣味の登山少年なんだろうな。
色々余計な事を考えている内に、私も山の入口まで来ていた。この山は地元では天狗の山と呼ばれている高さ150mくらいの小さな山だ。
かつてはきちんと整備されていただろう山道も、今では管理が行き届いていないらしく、草も自由に生え放題で足元がハッキリ見えないくらいになっている。
私は一度深呼吸して心を落ち着かせて、ゆっくりと山を登り始めた。
ちなみに、どこをどう進めばお宝にありつけるかは夢の中でしっかり体験済み。目の前の山道も夢で見た通りの景色だった。
私は夢で見た記憶を思い出しながら、迷う事なく草が伸び放題のその道を登っていく。余りに順調に進めるので、鼻歌を歌う余裕なんかも生まれていた。
このまま行けば、夢の通りなら、すぐに目的の場所まで辿り着けるな。そう思っていた矢先、目の前に先に入山していた少年の姿が目に入って来た。
(迷っているのかな?)
先行している少年はずっと手に持った地図のようなものを見ながらウロウロしている。私はあんまりジロジロ見るのも悪いと思って彼を無視して先へと進んで行った。
「おい、ちょっと待て」
「!?」
私が彼を追い越そうとした時、突然少年から声をかけられた。何?何でこの男子は見ず知らずの相手にそんな失礼な言葉をかけられるの?
私はこの少年の話し方にムカついてその声を無視して先に進もうとする。
「待てって言ってるだろ!」
「はぁ?」
ああ、やってしまった。こう言う輩に捕まったらどうなるか分からないのに。
そもそも夢にこの少年は現れていなかった。だから無視したって大丈夫だと思っていたんだけど――。
「お前、天狗のお宝を狙っているんだろう?」
「はぁ?何言ってんの?」
ああ……売り言葉に買い言葉になってしまった。少年は明らかに敵意むき出しでこちらを見ている。
ああもう……何でこんな事になっちゃうのよ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます