君と
星成和貴
樹
「いっくん、どうしたの?」
隣の香織が心配そうに話しかけてきた。
俺の今の状況を正直に伝えるべきか、どうするか。この選択を間違えるわけにはいかない。
香織は、黙ったまま待ってくれている。
香織の方を見る。
「天使……」
自然と言葉が出てきた。香織は訳がわからないようで、首をかしげている。
俺は思い切って、すべてを話すことにした。
「そう、俺は天使に呪いをかけられたんだ」
「天使なのに呪いなの?」
「あぁ。その、俺は……」
駄目だ……。話そうと思ったのに、これ以上は……。
その続きを言えなくなって、口を閉ざしてしまう。
しばらくの間、沈黙が続いた。俺が意を決し、口を開いた。
「俺の中には封印された悪魔がいるんだ。天使は、それを知って、それで、俺の存在ごとなくそうとしてるんだ」
そこまで話して隣を見る。香織は真剣に話を聞いてくれている。そのことに安心して、続けた。
「今までも、クラスに天使を潜り込ませて殺そうとしたり、毎日を繰り返したり、色々な目に遭ってきた。それは、寝ている間にも起きた。いや、正確には永遠に夢の世界に閉じ込められそうになった。挙げ句の果てには、この世界から存在を消すために、異世界に飛ばされた。無事に戻ってくることができたけど……」
俺が話始めると、香織はいつもみたいに、俺に呪いをかけた天使の笑みを浮かべた。
「なんだ。いつものいっくんだ。よかった。元気ないから、心配したんだよ?」
そして、香織は俺に最悪な一言を続けた。
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