イベント
5月、『サンライザー』
6月、『Transparence(仮)』
7月、『PHENIX』
8月、『朧』
9月、『lonely wolf』
10月、『Suger-Bullet(仮)』
11月、『朧(仮)』
12月、『Transparence』
1月、『King』
2月、『Suger-Bullet』
3月、全グループ
黒板には整った字でそう書かれている。
仮とついているのは、新たな特待生が追加されればそこのイベントに参加する、ということだろう。練習時間を視野に入れると6月の『Transparence』は動くことはないだろうが、10月と11月は他のユニットになるかもしれない。
それぞれのユニットは、自分たちの出演するイベントがこれでいいかということについて話し合っていた。
5月は毎年ゴールデンウィークのどこかでライブをする。このライブはほかより客層が広く、小さな子供もたくさん来る。戦隊モノをテーマにした『サンライザー』は子供うけもいいので、ぴったりなステージだろう。それに、『サンライザー』はメンバーに三年生が多いから、ライブまであと3週間ほどしかなくてもうまく仕上がるはずだ。
6月は季節に応じたイベントではない。が、『Transparence』は、特待生ではすごく珍しい、一年生だけで構成されているグループだ。
『春フェス』は4月のはじめに行われるため、入学したての一年生は練習の時間がほぼないし、まだ所属するグループが定まっていないことが多いので、ほとんどが不参加の選択をする。参加を選択したグループも、とにかくその辺にいた生徒を集めて組んだものが多いから、それぞれの個性もうまく出せていないことがよくある。判定は少し甘くなっているものの、4月の時点で特待生に一年生の名前があることすらほぼない。
なのに、一年生だけのグループがあるとなれば注目度は異常だ。注目度の高い早い時期に、だが早すぎない時期に『Transparence』の出番があるのは賢い選択だと思う。
7月と8月は、『君色祭』でのライブだ。君色祭は計4日、7月の末から8月の初めにかけて行われる。最初は『Transparence』と並ぶ期待のルーキーである『PHENIX』で盛り上げ、最後に和をテーマにしたユニットである『朧』でしめる。『朧』の実力はかなりのものだ。『君色祭』の終わりにふさわしいステージになるだろう。
9月は『lonely wolf』。どこか寂しげで、だが情熱的な曲を得意とする彼らにはぴったりな月だ。それに、ここでバンドをいれておくとバランスの偏りが防げて良い。
10月と11月は仮になっている。やるとなれば、『可愛い』がテーマの『Suger-Bullet』はハロウィーンだろうか。『朧』は落ち着いた雰囲気だから、普通のライブでも十分秋という季節に合う。何か変えるとすれば、普段の白と青の衣装を赤っぽいものに変える、くらいだろうか。
12月は再び『Transparence』。これは、このバンドのメインボーカルであるアーサー・ウォルトハウゼンくんの声を聴いたら納得する。
1月は『King』。彼らは前から特待生であり、実力は十分示されているので遅い時期に出てきても問題ない。それに、一月の空や雪に彼らの白い衣装はよく映えるだろう。
2月は『Suger-Bullet』。彼らも『King』同様以前から特待生だ。――いや、依然というよりずっとか。
『Suger-Bullet』は、引継ぎ型のユニットだ。メンバーを入れ替えながら何年も続いていく形式のユニット。
そして、『Suger-Bullet』はどの代も毎年2月に、バレンタインをテーマにしたライブをする。そういう伝統も考慮してあるのだろう。
『サンライザー』も実は引継ぎ型のユニットだ。だが、7年前だったか、一度『サンライザー』は途絶えた。それを2年前、赤昏先輩が復活させたらしい。この学院創設以来7年前までずっと引き継がれてきていたユニットだそうだから、再び復活し特待生になったとなればかなり期待されているだろう。
学院創設以来あるユニットだから、ちょっと名前がダサいのだ。これは初代以外どの代の『サンライザー』も認めてるから私が言っても大丈夫。
そういえば、『Suger-Bullet』は跡継ぎどうするんだろう。今のメンバーである一ノ瀬先輩と村瀬先輩はどちらも三年生だ。『サンライザー』は黄瀬くんが2年生だから来年も残るけど、『Suger-Bullet』は誰も残らない。誰かを卒業までにユニットに入れないといけないはずだ。練習期間なども考えると、8月には新メンバーがいないと。
あ、だから10月にライブが入ってるのかな。新メンバーのちょうどいい初舞台として。
黒板を見れば見るほど先生の凄さを痛感する。
3月は、全員参加の『スターライトステージ』。平たく言うと卒業式のようなものだ。これは個々のグループでそれぞれ自由な、最も自分たちらしい演目を披露する。
私はなんとなく周りを見回した。
楽しそうに、優雅に、無表情に、嬉しそうに。
それぞれ自由な表情を浮かべて、イベントについて話している。
『スターライトステージ』までに、みんなどんなふうに変わって、成長していくのだろう。
それを一番近くで見れるっていうのは、結構嬉しいかもな。
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