待ち合わせの果てに 8

気が付けば俺は道の真ん中にたたずんでいた。

さっきまで流れていた涙はすっかり消え、空はそれを励ますかのように雲一つない晴天。


「ここは晴れが多いな」


思わず笑みをこぼしながらつぶやいた。体が自然と動く。何も意識していなくても的確な道を進んだ。右に曲がり左に曲がりまた左に曲がりそこから右に曲がる。そうこうしているうちに俺の息は切れ、すっかり日が沈みかけていた。


「ブレッド、どうしたの?」


そんな久しぶりに聞こえが俺の耳の中に入ってくる。そして自然と体が動いた。飛びつくようにイブの華奢な体を抱き寄せ顔をイブの肩の上に置いていた。両手はイブの背中でクロスされなかなか話そうとしない。


「えっ、ちょっ・・・・なにかあったの?」


するとイブの体温がどんどん上がっていることがこちらにも伝わってきて今、彼女は緊張していることが身にしみて感じられる。


「お前は変わってないんだな。あの時から・・」

「どういうこと?だって私たち、あってまだちょっとしかたってないじゃない」


イブの心臓の鼓動が早くなっていくことが俺に伝わってくる。俺はそっとイブの体を自分から引き離した。顔を見てみれば俺の知っているイブの顔そのままに真っ赤に染めている。


「今は知らなくていいんだ」

「きおつけてね」


驚いたことに飛んできた言葉はそんな言葉だった。


「どう・・してだ?」

「だって、何かを解決しに行くんでしょ。私、知ってるよ。ブレッドが不器用なだけで全部を失いたくないと思ってるって。全部を守りたいと思ってるって。応援してるからね。きおつけて、ピンチになったときはブレッドは絶対に死なせはしない。君がいなくなったら私、これからどうしていいかわからなくなっちゃうもん。さっきまでみたくね」


彼女の顔を見てみればいつの間にか涙が流れていた。そして、俺に満面の笑みを見せている。


「わかった。絶対にまた会おう」


あれ、これ死亡フラグじゃねぇなんてことを思いながら俺はゆっくりと後ろを向くと再び走り始めた。今度は全力で。風よりも早く、俺は走った。

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