とある女子高生の備忘録
抹茶
第1話 ~入学式~
ジリジリジリ、ジリジリジリ、ジリジリジリ!
あぁ、起きねば。
けたたましく鳴り響く目覚まし時計をいやいや止める。朝っぱらから元気だなアンタは。いや、朝ではないな。だってもう朝の11時30分。太陽もとっくに高く昇っている。春休み中は目覚ましをこの時間にかけることにしている。そうして、あたしは重い体を起こす。何だっけ。何か忘れている気がする。えーっと、昨日は最後の春休みの日ってことで美里たちとカラオケに・・・え、さ・い・ご・の?
いや、まさか。まだ慌てるな。昨日はきっと日付を間違っていたんだ。今日はまだ4月2日とか、3日とか、そういうやつだ。寝ぼけた頭を必死に回転させながら、ベッドわきの大きなカレンダーを確認する。×印がついているのは4月7日まで。ということは・・・
「____やっば、遅刻する・・・・・・っ!!!」
寝起きで乾ききった喉を酷使して、あたしこと岩永藍は思いきり叫んだ。
そう。今は4月8日午前11時30分。あたし・岩永藍はN高校の新1年生。そして今日は入学式。受付は12時から12時30分までで、家から学校まではバスで約40分。要するに、大変やばい。初日から遅刻とかマジで勘弁。
幸い着慣れている制服に早着替え。寝間着はベッドの上にポイ。今日から一応女子高生とかそういうのは思い出さなかったことにする。とりあえずリビングに行くと母からの置き手紙が。「12:30までに学校に来いボケナス。書類は全部持ってった」こんな手紙置くくらいなら起こしてよそれにあたしが持ってなきゃいけない書類もあるのにあとボケナスとか死語でしょ、と起床2分後にも関わらずご近所からは岩永家名物とも呼ばれるマシンガン突っ込みをぶっ放す。裏紙に書かれた手紙はぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に投げ入れる。そして大急ぎで荷物をまとめて家を出て、ちょうどタイミングよく来たバスに乗り込んだ。
前日は11時間睡眠であったにもかかわらずバスでうつらうつら寝ていると、いつの間にかバスの無機質なアナウンスは「次は~、N高校前~、N高校前~」とやる気のない声で告げていた。バスを降り、時計を見ると11時23分。ちなみに学校に続く坂を登るのには徒歩約6分。「さて、」とあたしは大きく息を吸い、一気に坂を駆けだした。
結論としては、間に合った。でも、汗だくで息も乱れていて正直今から入学式に出る新1年生とは思えないような状態だった。「ま、あたしの高校生活の始まりかたなんて、どうでもいいか」と完全に開き直り、あたしは見慣れた先生方がいっぱいいる受付に向かった。
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4月8日(Fri)
今日は入学式があった
起きたのが11時30分で、遅刻しそうだった。とりあえず親を怨む。
受付には中学校の先生がたくさんいた。少し安心。
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