No.109 YAMAHA PSR-3000 Module

MIDI音源BOX業務用SC-88やMIDISUKE2002に次ぐヘンテコマシン第三弾。

2004年発売のホームキーボードPSRのハイエンド機。2001年に発売されていたPSR-1000/2000の上位機種でディスプレイがカラー液晶になった。PSR-3000の下位機種にPSR-1500というのがある。当時の価格は21万円。値段の通り、ホームキーボードながらプロフェッショナルシンセに匹敵するクオリティーを持つ。この同時期にMOTIF ESが出ているが、クオリティーはその前身機種であるMOTIFに引けを取らない。

PSR-1500との違いは、マイクを使ったボーカルハーモニー機能、ベロシティーで演奏法が切り替わるキーボードメガボイス、ディスプレイをテレビやモニターに映す機能の有無にある。

フルカラーディスプレイになった事で画面には楽器の画像が表示されるのだが、その中でも古楽器や民族楽器などの画像に関しては、楽器博物館で実際に所蔵されている楽器の画像が使われていたりする。

PSR-3000にはヤマハプラグインボードでもおなじみだったボーカルハーモニーエフェクターが搭載されており、入力された音声にハーモニーを自動でつけてくれる。そして、オルガンフルート機能で、画面上に出て来る9本のハーモニックバーやパーカッシブスイッチを利用してオリジナルのオルガンボイスを作ることも可能。プロフェッショナルシンセでも出来ないことをやってのける多機能性振りである。そして先にも出た、『キーボードメガボイス』機能。これはMOTIF ESにも搭載されたベロシティーの強弱で演奏法を切り替えられる機能で、リアルタイム演奏や打ち込みでの演奏のリアルさを演出できるというもの。例を挙げると、スティールギターでは強弱の音の違いに加え、強く弾くとベンディング奏法に切り替わるといった具合。単なるオモチャのキーボードという設計ではないことが伺える。

この機種が『ヘンテコ』といっているのは、名前にModuleとある通り、実はキーボード部分やボタン類、ディスプレイなどフロントパネルの全て省き、2Uラックモジュールに基盤を収めて改造してしまった機種だからである。音源のフロントパネルには電源と音量調節しかない。では、ディスプレイはどうするのかといえば、もともと機能として備わっているテレビ出力機能を使って画面に映すという方法をとるのである。そしてボタン類が一切ないので使いにくい事この上ない。ちなみにUSBデバイスはあるがマウスなどを繋いで使う機能はないので、ほぼ操作が不可能。外部からMIDI操作によって音色の切り替えを行うほかなく、残念ながらオルガンフルート機能などは使えない。

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