外伝:異能世界の異端児

キリシマ

序章

第零話 少年の見た夢

「ぼく、けいさつかんになりたい!」


 無邪気に自らの夢を語る少年を、申し訳なさそうに──哀れむ様に、瞳に涙を溜めて見つめる、女性──母親が佇んでいる。


「そしたらぼく、おかあさんをまもってあげるね!」

「っ……!」


 少年の一言に、込み上げて来る何かがあったのであろう。母親は瞳に溜めた涙をこぼし、少年を抱擁する。


「ごめん……ごめんね……ごめんね……」

「どうしたのおかあさん? なんでないてるの? どのかいたいの?」

「ぅうっうわぁぁああああ!」


 母親は少年を抱いたまま号哭ごうこくする。


 少年は未だ知らない。


 自らの歩む、数奇すうきな人生を。


 ────その結末を。

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外伝:異能世界の異端児 キリシマ @kirishima04

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