アンドロイドが人間に恋をしたら。

美織

『愛してる!』…って、展開にはまだはやい?

 ピー。「ワタシ、アンドロイド……」


 私は、とある実験所で生まれたアンドロイド。『ロアン』


「これが、世に出たら世界は一気に変わるな!」「わぁ、やっと完成しましたね!」


 周りの大人たちは、みんなそんなことばかり言っている。

 しかし、私にはとてつもない機能が埋め込まれていた。


「なんたって、今回は¨恋愛感情¨を埋め込んだからな。」


 そう。私は、¨恋愛感情¨なるものがある…らしい。というか、¨恋愛感情¨とは何なのでしょうか。私は、まずそこから学ばないと。


「……ロアン。」

「はい。博士。」

「…外の世界は大変だろうけど。」

「任せてください。」

「……元気でな。」

「………はい。博士。」


 そして、私は実験所から旅立つ。………はずだった。


「あの、私は何をすればいいのですか?」


 そうだ。私はなにも知らない。ニンゲンに例えれば、生まれたての赤ちゃんみたいなものなのだ。


「……うぅん。」


 こうして、私は全ての感情や勉学を学ぶために実験所に居座ることになった。


……居座るって、何ですか?


 1日目、勉強を小学1年生から大学まで全てマスターした。


 2日目、ピアノ、裁縫、芸術鑑賞に音楽鑑賞。技術的な面でも全てマスターした。


 3日目、感情を学んだ……と言っても、これは、外の世界で学ぶものと判断された。


 終わり。……『学ぶ』って、結構簡単ですね。


 こうして、私は外の世界に出ることが出来ました。


 家を貰い、お金を貰い、食料を貰い…とにかく、色々なものを貰った。


 そして、私はお金が無くなるのが分かったので、『アルバイト』なるものを始めることにした。モチのロン、その『職場』も、実験所が用意してくれたのだ!


……こういうところでは、『どやぁ』とした方がいいのでは?


 そして、初出勤。そして、初挨拶。


「私は、アンドロイドのロアンです。これから、よろしくお願いします!」


 そして、ここから愛の物語が育まれる……と言われていますが…


「これから、君の担当をしてもらう、」

「高山 武です!よろしく、ロアンちゃん。」


……なにこの爽やか系イケメン。…ですか。


 すらっと高い身長。ちょっと焼けた肌。指が長くて、しっかりとしている手。そして、意外と『細マッチョ』!?


……ふぅ。熱くなってしまいました。


…これが、『恋』ですか?


 胸が熱くて、ドキドキする、これが……『恋』


 そうですか。


 ですが、私は教えてもらいました!博士に!


……『思い立ったらすぐ行動。だよ。』


 分かりました、博士。実践あるのみ…です!


「あの。高山……さん?」

「武でいいよ。」ニコ

「じゃあ、武さん……」


 言うんだ。頑張れ、私。


「あの……、私、あなたのことが……」

「おーい、高山!」


 …………え?


「あっ!先輩!……ごめん!ロアンちゃん。ちょっと……」

「あっ……すみません。」シュン

「ごめんな!」パタパタ|


 現実の『恋愛』は、難しいですね。


『愛してる!』なんて言うのには、まだはやい?……のでしょうか。

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