ヘルシーホテル

はシまゆキ

喰葉 1


喰葉視点

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「ようこそいらっしゃいませ、お客様。あぁ、驚いた顔をしてますね。何故ここにいるのかわからない、というような顔ですね。わかりますわかります。私もはじめはそうでしたから。なに、いつか気づきますよ。ここにいれば」


そうしゃべるクマを持ったオカッパの男はドアマンの天満と名乗った。彼は自分が口を開く前に自分が一番最初に思った疑問を答えてくれたが本当に答えてくれたのかは怪しいが。


「案内さん案内さん案内さぁーーーん!」


「おやおや、千寿さん。どうかしましたか?」


「うーん?どうかしたんだっけ……わかんない!」


「そうですか」


千寿と呼ばれたオレンジ色の髪の少女はひまわりが咲くような笑顔で天満に話しかけたが自分がここに来た理由を忘れたようでむーんむーんと唸り始めた。


「では千寿さん、ついでにこの方を案内してもらえませんか?」


「え、なんでさー」


「私も説明しますが従業員と宿泊者の考えは異なりますし」


「それはそうだね。そうそう、君もいいかい?」


「あぁ」


「じゃあ、行きましょうか」


「私は千寿っていうんだー。417号室にいるよ」


「よろしく。俺は、喰葉だ」


こうして天満と千寿に出会った。


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部屋まで案内してもらっている時にいろいろと説明してもらった。


ここはヘルシーホテル。自殺をした人が至る場所で何かしらの未練がある人がここにいると。


「喰葉さんはなぜ自殺を?」


「あ……拷問を受けてね……それで死ぬくらいならって思って舌を噛み切って死んだんだ」


「舌を噛み切るのって痛くないー!?」


「知らん、いつの間にかここにいたし」


「それは確かにねー!」


ケラケラと笑う千寿。千寿は感情の起伏が激しいみたいだ。天満もコロコロと表情を変える。


「眼帯さんはすごい人生を歩いてきたんだねー!」


「千寿さんはどうなんですか?」


「私は何も覚えてないもーん。ごめんねー」


「覚えてない……?」


「そ、覚えてない人だよ」


「覚えてない人もいるんです。ここで暮らしていくとわかりますよ」


「結構いるけど思い出せないんだけどぉー!案内さーん!?」


「知りません。千寿さんの日頃の行いが悪いからじゃないですか?」


「例えば?」


「ハザマのカジノで金巻き上げたってお聞きしましたが?」


「誰に!?」


「三式さんです」


「げ」


「やめてあげてください」


「げげげ」


千寿が逃げようとしたので一応捕まえておいた。じたばたと暴れるが死ぬ前は何でも屋のようなことをやっていたせいで色々と血生臭い仕事もしていたので腕っ節に多少の自信はある。


「すみませんね。カジノでお金を巻き上げる常習犯なんですよ」


「それはまた……」


常習犯って手馴れてるのかよ!


「いろんな場所に潜り込むのでこっちはひとりを監視役に配置してるんですよ」


天満がそういった瞬間チリーンと鈴がなった。いつの間にか正面に一人の長身の青年が立っていた。


「名無しさん、千寿さんをちゃんと見てくださいよ。またなにかやらかしたら面倒なんですから」


「……」


顔に紙を貼り付けた彼は軽く頭を下げた。しゃべる気は無いらしい。


「やっほー、虚無くん。部屋に戻ってたんだよね」


チリーンと右手に持っている鈴を鳴らす青年。


「彼は名無しさん、通称虚無さんです。一切しゃべらないので名前わからないんですよね」


「ほう……」


天満が耳打ちしてきた。彼もまた変わっている。



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という訳でヘルシーホテルの企画で作ったこの物語ですね。


喰葉(くいは)はまともなほうですが千寿や虚無はいろいろとあったりw



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