わたしは不審者(五十首詠)
り(PN)
わたしは不審者(五十首詠)
01 インギーの「ジェット・ジェット」を熟すヴァイ サイクス系は若干苦手(代役)
02 半額の釜揚げシラス大量に食し忽ち塩当りする(無謀)
03 占いに化かされ気分最悪に気張る実験終わればダウン(社会人)
04 聞けば繰り返される不機嫌な声「明日はわたしの誕生日なの」(式日)
05 川に漣が立ち電車もグラグラ揺れる鉄橋に旭日映え(強風)
(かわにさざ/なみがたちでん/しゃもグラグ/ラゆれるてっきょ/うにあさひはえ)
06「咳をしても一人」それでは詰らない。リズムの乱れが単調で。(謝)
(せきをして/もひとりそれで/はつまらな/いリズムのみだ/れがたんちょうで)
07 科学者の悪夢形を捉えれば至る所に壮健ウェルズ(ヴィクトリア朝)
08 乱れ撃つ心のままに乱れ撃つ時に理性を着て乱れ撃つ(鬱)
09 理不尽と判っていても沸々と滾る憎しみわたしの中に(逆恨み)
10 ひっそりと咲く花の色艶やかに 生理の血なら見慣れているが(感染症)
11 感情を解いてみればそこにいる あなたはわたし わたしはだあれ(解放)
12 誰かしら傷つけてなる娯楽 腐女子のお気楽にゲイの慟哭(2ちゃんねる)
13 風吹かば川面漣ささくれて 在りし日の町占う魔琴(平瀬川)
14 消防士、医者に教師の喫む煙草「路上喫煙禁止」空しく(場末)
15 可愛いと思える姿夢に見てウィッグ&マクスで念願が叶う(念願)
16 赤子泣き振り向き犬が転倒し それ見て笑う赤子振り出し(双六)
17 徒然に嘘を吐くなら潔く そうでないならなお潔く(覚悟)
18 ローファーの床叩く音清々し 無数の扉開けつつ前へ(解放)
19 禁断は何処にもないと知りながら自分の影に怯えるをのこ(招待)
20 掌の上で遊んで遊ばれて挙句の恋に深々と酔う(連歌)
21 親にしてみれば醜く厄介な子など養育したくあるまい(言わない本音)
22 わたしは自分のことしか見ていない そうと知るのはまだ先のこと(若気)
23 絶望の底の深さが可笑しくて入水の最中笑い転げる(その後が大変)
24 木々揺れて音まで派手で小気味良し 雨粒大の涙溢れよ(春雷)
25 花売ればいらぬといわれ人刺せば真っ赤に染まる綺麗なわたし(狂気が足りない)
26 ひあたりをきそうはなばなときをこえおとめのかみをいろどるあまく(はる)
27 彩もなく この世のものでない身なら どなたが我を好いてくれよう(恋)
28 日当りを競う花々時を超え乙女の髪を彩る甘く(ウィッグ)
29 ざいにちでおやなしいじめかさなればそれだけふえるかてんしすてむ(ねたみ)
(在日で親なしイジメ重なればそれだけ増える加点システム)
30 おもいならまけずおおぞらかけめぐるわたしにかけるたにんのしせん(ごうまん)
(想いなら負けず大空駆け巡るわたしに欠ける他人の視線)
31 山吹の色削ぎ落とす春嵐 明ければ定家葛の匂う(通勤路)
32 背の低い踊り子たちが里山で朝日を浴びて威風堂々(散歩路)
33 思はぬに花の咲(ゑ)まひを夢に見て 野辺の霞に骸(むくろ)ぞ居(ゐ)べし(夢)
34 久々の月9に響く歌声に思わずギョッと我が身重ねる(ラブソング)
35 へっぽこな音を奏でるギターならフラットラインのあなたに届く(炎)
36 曇り硝子を透し視る空に魚影が浮かび増える黄昏(審判)
くもりがら/すをすかしみる/そらにさか/なかげがうかび/ふえるたそがれ
37 小手毬も蔓も雨に色を変え来る紫を声なく迎う(春雨)
38 もういない君に手向ける花一輪 虚空に挿して我が背を見せる(未来)
39 味と音匂いHzが阿弥陀籤 視野の外にも感覚はあり(共感覚)
40 偽りの花を飾りて月を見る 赤い兎の目が返される(サットンの森)
41 パンプスが木橋行く音勇ましく 池の蛙もギョッとしてゲコ(ホタルの里)
42 怪我をした狸を救う公園のオバサマたちと擦れ違う朝(動物病院前)
43 鼻の下伸ばす男と忌む女 明日平日 風景知らず(連休最終日)
44 新月の雨上がりある地球照 砂糖水より甘い虫餌か(虫)
45 三月経ちやっと薬が馴染んだと健康そうな頬見せるきみ(神経症)
46 薫風に季節を数え子を数え死体を数え虫に刺される(ソーセージ)
47 病売り虐待を売り性を売り 親子友らの死を弄ぶ(評価)
48 古えの里から出土おおどかな猫に踏まれた名工の皿(にゃん)
49 物陰に一つ転がりまた一つあれよあれよとふくらむ子猫(生垣)
50 気の触れた男と遊ぶ帰り路 ドアを開ければ壁壁壁壁(フロイド)
わたしは不審者(五十首詠) り(PN) @ritsune_hayasuki
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