再会した幼馴染との共同生活
ぽいふる
プロローグ
今日から俺も高校生になるのか…。なんか、わくわく感はあるんだけど、春休みの脱力感が抜けないな。そういや、朝食前に一つすることが…。
といっても、父さんと妹の深雪におはようのあいさつをするだけだけどね。あ、ちなみに父さんと深雪は、もうこの世にはいない。
まぁ、わけあって…ってそりゃ、わけがなきゃいけないんだけど…。とりあえず、あいさつしないと…。
おはよう父さん、深雪。今日から俺も高校生だよ。
父さん。中学の時は色々と迷惑かけてごめんね。けどあんな俺でさえ勉強頑張って高校に入学できたよ。今日は俺の入学式見に来てくれよな!絶対かっこいいと思うからさ!ってナルシストみたいになっちまったな…。今日の晴れ姿見てくれよな!
深雪。兄ちゃん、今日から高校生だよ。けどこれから何があろうとも、あの日あったことや、深雪のことは絶対に忘れない。いっぱい思い出があるよな。家族旅行行ったりとか、小学校の時…っと、思い出すだけで泣きそうになってくるからやめとくや。入学式前に、泣けないからな。んじゃ兄ちゃん行ってくる!
「玲。朝食はしっかり食べなさいよー!」
「わかってるって。今行くっ!」
二人がいる和室から出て、リビングに向かった。
ちなみに今は俺と母さんの二人暮しだ。それにリビングといっても、ソファや冷蔵庫やテレビなど、ごく平凡なリビングである。
そしてリビングの真ん中にある、四角いテーブルの上に朝食が置いてあり、もう母さんは食べ始めていた。
そういえば昨日こんなこと言ってきたっけ。
「あ。そういえば、明日は私も仕事を休んで入学式に行くわ」
「仕事休めたんだ」
「うん。なんとかね」
「そっか」
…とか会話したっけな。
実はさっきのとおり父さんが他界したため生活費を稼げないから、今は母さんが働きにでているのだ。
「今日は父さんと深雪も連れていくわ」
母さんが朝食を食べ終え、食器を片付けようと席を立ちながら唐突にそう言ってきた。
俺は別段驚きもせずに、そうか…まぁそりゃそうだよな。だって息子のたった一度の高校での入学式なんだからってな感じに思っていた。
「そっか。だけどなぜ深雪もなんだ?」
「そりゃ深雪だって、お兄ちゃんの晴れ姿見たいかもしれないじゃない」
深雪はいつも俺が帰ってくると「おかえり!」って言って俺を向かえてくれたりとか、遊びに行くときとかも俺についてきたりとか…。まぁ、いつも俺の近くにいるような子だったからな。
けど、深雪だってもし生きてたら今頃は…って思うとちょっとだけ辛くなる。
「そっか…。深雪もいるって考えるとなんか緊張するな…」
「なんでよー」
「い、いや!別に関係ないだろっ!?」
だって深雪も結構可愛かったから、いるって考えると胸の高まりが止まらないんだよ。だなんて言える訳がない…。
「なんか怪しいわね…。まぁ、いいわ。そういえば、まだ時間に余裕はあるから、ゆっくりはできるわよ」
「うん。荷物の確認とかしとくよ」
「そういえば、今日は美花ちゃんと一緒に行くの?」
母さんは食器を台所に置いた後、俺と向かい合わせの席に座り、いきなり肘を突きながらこっちの顔を覗き込むように見てきた。っと思ったら、いきなり変なことを質問してきやがった!?
「ゴホッ!ゴホッ!…いきなり何言い出すんだよ!」
俺は飲んでいた味噌汁でむせてしまった。
「え?だってメールアドレス交換したんでしょ?」
「な、なんでそれを知ってるんだよ!」
実はつい一ヶ月前に、母さんから幼馴染の美花が俺と同じ高校に入学したこと教えてくれた後、母さんが美花の父さんと仲が良くて美花と会わせてくれる時間を設けてくれた。
それで三年ぶりに美花に会い、久しぶりでなかなか打ち解けなかったけど、最終的にはメアドを交換できるほどまで打ち解けることができた。
そして連絡を取り合い春休み中に遊びに行ったりとかして、春休みの最後のときに入学式は一緒に行こうと話していたのだ。
「まぁ、気にしないでいいわよっ。ところで一緒に行くわけ?」
「…まぁ、そうだけど」
「あんたたち、いつの間に仲良くなったのよ」
「べ、別に関係ないだろ!」
「ふぅーん…」
「ご、ごちそうさま!」
母さんは怪しいものを見るような目で俺を見てきたため、朝食を急いで食い終わらせて逃げるように部屋へと駆け込んだ。
なんかこれ以上あそこにいると危ない気がした…。
そろそろ行かないと集合の時間に間に合わないな…。
「もういくの?」
「うん。準備できたしね」
「そっか。気をつけてね。母さんも後から行くから!」
「わかった!んじゃ行ってきます!」
俺は新たな高校生活への一歩を踏み出した。
あの時以来になるのか美花と会うのは。大体…二週間ぶりになるのかな。春休み中遊んでたといってもほんの2、3回しか会ってないから、結構遊んでいたというわけではなかった。
けど、三年ぶりに会った美花はかなり大人びていて綺麗になっていた。やっぱ中学三年間が一番、女の子から女子へと変わるときなのかな。
さて、そろそろあいつがここにくるはずなのだが…。
「ごめーん!お待たせ!」
やばっ。私服のときもかわいかったが…制服姿もかなりやばい。身長は160手前ぐらいでスタイルは抜群。髪は黒でロングヘアー。顔は小さく、胸は…ごく平凡サイズである。
よくもここまで可愛くなったなって思う。小学のときなんかこんなずば抜けるほどじゃなかったのに。
「よし、行こっか」
「うん!」
俺達は高校へと歩き出した。
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