観察日誌:2044年7月4日

 宇宙が出来、地球が出来、人類が生まれ、人類史が再現されたのだが、予想以上に歴史にズレが生じている。

 この世界が誕生したことでさえ偶然なのだが、歴史がこの通りに進んできたのも、数ある偶然が重なった結果であって、同じ歴史になるのは滅多に無いという事だろうか。


 だが、なんとしてもデータ上の歴史を現実と同じものにしなくてはならない。


 いや、少なくとも、10年前までを同じ歴史に出来ればいい。


 本来なら認めたくは無いのだが、また内有に頼んで歴史を修正して貰わなければならない。

 ここ数日、スタッフ全員が疲労しているというのに、更に負担をかけてしまうのは本当に申し訳ない。

 侘びにもならないだろうが、せめて内有の好物でも差し入れることにしよう。




 はて、あいつの好物はなんだったかな。

 長いこと研究を手伝ってもらっていたはずだが、うまく思い出せない。私も疲労が溜まっているのだろうか。

 まあ、伊豊にでも聞けばいいだろう。

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