グリムノーツ ラプラスの悪魔と調律の巫女たち

シムーンだぶるおー

第1話 悪魔は踊る、されど進めず

 ラプラスの悪魔……

 かつて学者ラプラスによって提唱された、今の事象からその後起こる全てを把握する存在

 しかしそれは存在を仮定されただけの、仮想空間上の存在である

 ……そのはずだったのだが……


 だがこのラプラスの想区には、運命の書通りの生き方を否定する者たちを、機械的に律する者がいた。

 運命の書に従い、運命の書に逆らおうとしたものを罰する調律者

 ストーリーテラーが定めた物語、それに逆らう者を自浄するための存在

『ラプラスの悪魔』

 その想区に住む人々は、その存在が持つ能力と役割に対して、畏敬と畏怖を込めて、その存在をそう呼ぶ…… 




 新しい想区へとやってきた調律の巫女一行。

 物理学などの学問に比較的明るいシェインは、学問に関する蔵書や武器などに興味しんしんだった。

 しかし、他のメンバーは近代都市のあまり見慣れぬ町並みに感心しながらも、

街の規模に反してあまりに人気がないことに、違和感を覚える始める。

 これだけ近代的で区画整備や清掃も行き届いた街が、これほど活気がないのはあまりにもおかしい。

 最初は異邦人である自分たちを警戒しているのではないか? そう思っていたのだが、それにしても人々の様子がおかしい気がする


エクス「なんだか、街の大きさの割には人があまりいないね」

レイナ「たしかに……」

シェイン「というより、なんだかみんな何かを警戒しているような……」

タオ「俺たちを警戒……しているわけでもないみたいだしな」

エクス「そうだね、僕たちに注目している人たちはあまりいないようだし」


 その街の雰囲気の正体について考える一行

 そこに、彼らに話しかけてくる人物が現れた。

 性別がよく分からない、不可思議な容姿の人物だった。

 中性的な顔立ちに、男性としては若干背が低く華奢にも見えるが、女性としては標準的な背格好。

 その髪と瞳は琥珀色。服は手袋から靴まで黒地に灰色の刺繍。だが、前を開いたコートは純白なため、黒尽くめという印象はない。

 その服装は色の組み合わせはともかく、男性でも女性でも着ていそうな服であるため、服装でも性別はハッキリとはしない。


???「まだ街に来て間もないのだから、この街の事情を知らないのも無理はないね」

エクス「あなたは……?」

???「ようこそ! 学者の集うラプラスの想区にして、カオステラーの脅威に怯える街へ」

レイナ「あなた……想区のことやカオステラーを知っているの!?」

???「厳密にいえば、ストーリーテラーが設けているルールや、想区が一定の期間で物語を繰り返していることも知っている」

???「ああ、別に君たち調律の巫女と敵対するものではないよ。それについては警戒しないでほしい」

???「しかし……調律の巫女がいるというのに、カオステラーの気配でこの想区に来たわけではないとはね……」

???「奴め、よほどうまく気配を隠しているようだな」

シェイン「なんかこの人、自分だけで色々納得してるんですけど」

レイナ「ちょっと待って、この想区カオステラーがいるの!? 私は気配は感じな……いや、そう言われてみれば、多少違和感が……」

エクス「それって、カオステラーがレイナに気付かれないようにしてるってこと!?」

タオ「今まで、そんなことしてきた奴は、いなかったぞ……」

???「君たちの事情は把握している。まずはこの街の状況なども含めて、後で詳しく説明することとしよう」

???「それより、まずは私と一緒にアレをなんとかしてほしいのだが……」

 そういって、その人物が指し示した先には……

巫女一行「「ヴィラン!」」

???「残念ながら、私だけではアレを根本から解決するのは不可能なんだ。君たちと違って私は調律は出来ない」

???「だから、君たちと協力してアレをなんとかしたいと思っている……」

レイナ「それを信用しろっていうの?」

エクス「レイナ、落ち着いて……この人、それほど悪いことを考えているようには見えないよ」

シェイン「本当に悪いことを考えている輩は、えてしてそうは見えないことも多いですけどね」

???「おっと、すまなかった。君たちのような特殊な存在と出会えたことが新鮮で、自己紹介すらしていなかったね」

???「それでは、信用されないのも無理はないな」

ラプラス「私の名前はラプラス=デモン。人は私を『ラプラスの悪魔』とも呼ぶ」

シェイン「ラプラスの悪魔……それって……」

エクス「シェイン、彼についてなにか知っているの?」

ラプラス「その話はひとまず置いといて、まずは連中を片付けるとしよう。説明はそれからだ」

タオ「……なんだかよく分かんねぇけど、どうせヴィランはぶっ飛ばさなきゃなんねえしな」

レイナ「たしかに、それはそうね」

タオ「よっしゃ。タオファミリーのけんか祭りといこうじゃねぇか!」


そうして、ラプラスの悪魔とともに、ヴィランを倒す戦いが幕を開ける。(ゲストキャラとして『ラプラス=デモン(大剣)』を選択可能)

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