ある兄の手記
鹿角フェフ
プロローグ
ある日のこと、貴方は手記を見つける。
いつ頃書かれたものか、今までどこにあったのか、そもそもどうして手元にあるのか?
それら一切が不明の、不思議な手記だ。
書かれている内容を見る限りそれは男性――恐らく高校生と思われる人物が記した、自分の身に起こった出来事の記録らしい。
他人のプライベートを覗き見るのはいささかマナーが悪いではないだろうかと
『僕の妹はバケモノ――』
走り書きされた内容は、やけに貴方の興味を引いた。
この文章が意味するところはなんだろうか?
貴方はついにページに指を這わせてゆっくりとめくる。
紙が擦れ合う音が静かに耳に流れ、同時に視界にはよれた文字の集団が飛び込んできた。
書き手の名前は――
ざっと読んだ印象から想像通り高校生の男子生徒で、その内容は彼の身に起こった不可思議な出来事の記録らしい。
気が付けば、吸い寄せられるようにその内容に入り込んでいた。
まるで自分が自分でないような感覚だ。
貴方が読むのを待ちわびていたかのようにシンとあたりが静まり返り、落ち着いた静謐な気持ちが身体を包み込む。
ペラ、ペラ、と、紙をめくる音だけが静かに流れて消えてゆく。
その手記からは古ぼけた紙の香りと共に、なぜか錆びた鉄のような匂い
がした……。
『僕の妹はバケモノです』
お宿ニコニコ、コラボ企画
「ある兄の手記」
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