SENSE5

SENSE5

《護衛艦かがアイランド》

有明「先行している小隊より報告。偵察の結果、不審船は駆逐艦3、情報収集艦1、その他小型艦艇10以上。」

有明「一定の偵察を終えていますが、データが鮮明では無い為、小隊から行動の延長許可が求められています。」

東雲(駆逐艦に情報処理艦…?不審船は小型艦艇だけでは無かったのか?

これでは戦闘も視野に十分入るではないか。しかし、今我々に必要なのは一体…)

東雲「偵察行動の延長を10分に限定して許可する。ただし、対空攻撃に十分な警戒をせよ。」

有明「了解。電信員、伝達の準備にかかれ。」

「かが」から小隊らに対して通信がなされ、小隊は偵察行動を続ける。

その時の事だった。

突如「かが」の対空レーダーは小隊に対して向かう複数の、かつ高速の「点」をレーダーディスプレイに映し出したのだ。

「かが」攻撃指揮官「電測員より報告、小隊に対して複数の対空ミサイルが発射されたとの事です!」

有明「了解した。」

有明「艦長、直ちに偵察を中止させる許可を出して下さい!」

東雲「…直ちに偵察を中止せよ。作業員を配置し、着艦用意を行え。」

有明「了解!」


(護衛艦かがの対空レーダー探知より僅かに前)

《不審船艦隊 駆逐艦「徐州」戦闘指揮所》

「徐州」艦長 張「敵機の内、偵察部隊と思わしき最も接近している2機に集中してレーダー波を当てろ。」

「徐州」レーダー要員 「了解。しかし、先ほどから対空・水上レーダー共に乱れが激しく、もとより機影がほとんど消えている状態です。恐らく、敵艦の電子攻撃に依るものと敵機のステルス性が原因であると思われます。」

張「構わない。短SAMを発射準備にしただろうが、それは何基だ?32セルの内、半分は使え。」

ミサイル要員 「半分も…ですか。」

張「そうだ。私は現在接近中の敵機らは最新鋭機だと思っている。これらを落とすことが出来れば敵艦隊への打撃になるだけで無く、日本の政権に多くの反対が押し寄せる事になり、少しの間政府、及び国会は攪乱されるだろう。さらには我々にとってこれは名誉と成る。そしてこれは又、最新の対空ミサイル、DK-10の性能実証にも成るのだ。」

ミサイル要員「了解!直ちに攻撃用意に取り掛かります!」

ミサイル要員「諸元入力良し、短SAM発射準備完了!」

攻撃指揮担当要員「撃て。」

ミサイル要員「撃て!」

駆逐艦徐州の垂直発射装置から続々と、予め入力された方向で、小隊に目掛けて短SAMが発射される。

短SAMは魚雷の放射状攻撃の様に複数の方向に向かって飛翔して行き、

その幾つかは自身のアクティブ・レーダー・ホーミングを基盤とするシーカーでF35Bを捉えた。

《護衛艦ながと艦橋-CIC》

電測員「偵察機、右急旋回。対空ミサイルを回避中です。」

電測員「後方の小隊がAAMにて次弾短SAMを迎撃中。未だ小隊側に損耗機は発生していません。」

電測員「新たに対空探知多数、駆逐艦の短SAM8発を確認。」

甲日「こちら艦橋-CIC、小隊に対する連続的な対空射撃が続いています。発射母艦をSSMにて沈黙させ無ければ、いずれは我が方に損害が出ます。艦長、90式SSMによる対水上攻撃を具申します。」

《護衛艦ながと艦橋》

潮井「………。副長、どうお考えか。」

この様な内容であるので生田が応答するのはやや時間が掛かると潮井は思っていたが、一概にそうとは言えない間で返答を耳にする事になった。

生田「…。私といたしましては、対水上攻撃を行うべきだと思っております。このままでは小隊の帰還が危ぶまれます。……もしかすると、我々は危険に対する認識が薄いのかもしれません。

この非常に緊迫した状況から逃避しようと頭のどこか片隅で思ってしまうのでしょうか、私は先程まで対艦ミサイル攻撃を行うべきでは無いと考えておりました。そして、このまま傍観していても小隊は無事に帰って来るとも…。

しかしながら、我々に与えられた任務について回るのは、不介入ではなく関与・介入なのだと思います。其れが例え、乗艦中の300人の中国海軍兵の人命、いや、もっと多くの人間を犠牲にする事となっても、です。」

生田「既に我々は80人近いサブマリナーを、対潜爆雷で損耗させた。既に、我々はどこか知らぬ、先が見えない土地に足を踏み入れてしまったのでしょう。

しかし、我々にはこれを以ってしても、また再びこの状況に直面するかもしれないと分かっていても、守らなければならない国民、島嶼、そして自衛官がいる。この事実が私達を突き動かしている事は理解しておくべきであると思います。」

潮井「………。もっともだ。人命を確実に奪うのは恐ろしく、回避したい事だが、任務が其れを許すことは無いだろう。4人のパイロットだけでは無く、この戦闘に於ける作戦目標遂行の義務を守る為には致し方無い。」

潮井「対水上攻撃を許可する。」

《護衛艦ながと艦橋-CIC》

甲日「了解。ミサイル員、SSM諸元入力を実施せよ。」

ミサイル員「了解!」

ミサイル員「諸元入力完了、SSM発射筒接続良し!」

甲日「SSM発射!」

ミサイル員「SSM発射!」

護衛艦ながとの船体中央部から90式艦対艦誘導弾が3基、

その目的相応の勢いで、飛び立った。

SENSE5 fin.


[ミサイル解説]

DK-10

中華人民共和国の人民解放軍海軍が保有する新鋭・高性能短SAM。

マッハ4程度で飛翔し、射程は約50kmとされている。アメリカ海軍のシースパローに相当するが、誘導方式が異なり、アクティブ・レーダー・ホーミングと成っている。シーカー探知半径は約30m。

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