SENSE2

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中国漁船を名乗る不審船の「艦隊」が停泊を始めてから間もなく、日本政府及び内閣は自衛隊始まって以来となる防衛出動を命じた。何故ならP-3C哨戒機の報告により不審船の「艦隊」中にはミサイルフリゲートや巡行ミサイルを搭載している攻撃型潜水艦が多数探知されたからだ。

この事実を受けて第一護衛隊群の第5護衛隊DDH-184かが、DDG-197ながと、DDG-178あしがら、DD-118ふゆづき、SS-520ひりゅうが横須賀を離れる事となった。

各護衛艦が出港の準備を進める中、生田の耳に入ったのは軍艦マーチではなく法制反対派のデモであった。デモの中にはAAAだけでは無く自衛隊初となる防衛出動を懸念した国民も多く見られた。だが、生田はそれをあまり不自然だと思わなかった。彼は現在の日本は左翼化、つまり平和ボケしていると思っていたからだった。SLBMやICBMは勿論のこと、USMやSLCMの脅威度を理解していない人間にとって中国の潜水艦が領海内に侵入しただけで最高レベルの自衛権を発動する事は過剰反応にしか見えない筈だからだ、と彼が思い巡らせていた頃には既に出港用意は完了していた。

《護衛艦ながと艦橋》

潮井「出港用意。」

艦長席からの指示で航海員の出港の演奏が実施される。

航海員「出港用意!」

潮井「両舷前進微速。」

航海員「両舷前進微速!」

全長170mの艦がタービンの稼動音と共に動き出す。

《横須賀港湾》

ニュースキャスター「たった今、ヘリコプター・戦闘機発着艦可能護衛艦かがを旗艦として第5護衛隊が横須賀を離れていきます。海上自衛隊始まって以来の防衛出動に伴う行動です。これからは第5護衛隊は不審船対処にあたるものだと思われていますが、今後の動向が不安視されます。なお、付近では学生組織であるAAAがデモを繰り広げており警察との衝突が危ぶまれています。」


第5護衛隊が不審船との距離約400kmまで接近する。

護衛隊が接近している時までに、不審船は複数回に及ぶ航空自衛隊の戦闘機から警告射撃を受けておりその度に尖閣沖から撤退、そして再接近を繰り返していた。この行動が何を意味するかは自衛隊にとって不明であったが、少なからずともこれまでとは違う方法での対処を迫られるだろうと言う事を潮井や八重樫は読み取っていた。

《宮古島近海》

CIC-艦橋 電測員「目標群多数感知!約150マイル先に水上目標15、対空目標2!本艦に複縦陣、相対速度30knで接近中。」

生田「CIC-艦橋、目標そのまま!両舷前進強速、取り舵45°。」

航海員「両舷前進強速!、取り舵45°!」

生田「艦長、先手を打って相手の動きを見た方が良いかと。積極的自衛権、つまり先制攻撃を具申します。」

潮井「潜水艦は。」

生田「はい、今の所ソナーに反応は有りません。」

潮井「分かった、90式対艦ミサイルによる警告射撃を実施だ。性能が分からないミサイルは敵艦隊にとって脅威であろう。しかしその前に必ず無線通信で警告をしてからの話であるが。」

生田「了解しました。では直ちに実行します。通信員、交信の用意。」

複数の言語で警告文は出されたが、応答は無かった。

生田「艦橋-CIC、SSM攻撃用意!」

射撃員「四連装発射筒接続良し、攻撃用意!」

砲雷長「撃ちー方始め」

護衛艦ながとの90式艦対艦誘導弾が放たれた。

射撃員「本艦のミサイル着弾までおよそ10分!」

SSM発射から2分が経過した。

水測員「…!ソナー対潜探知!本艦との距離30km、深度100。徐々に潜行しています!」

砲雷長「何故早期に探知できなかった!海図作成を怠ったか!」

水測員「いえ、恐らく相手は最新鋭レベルの潜水艦だと思われます。このレベルの騒音はAIPを搭載しているはずです!」

生田「艦橋-CIC、現状を報告せよ!敵潜は何故潜行中だ!」

砲雷長「既に手は打たれた…か。」

SENSE2 fin.


用語解説

SLBM 潜水艦が発射する弾道ミサイル

ICBM 大陸間弾道ミサイル

USM 潜水艦が発射する対艦ミサイル

SLCM 潜水艦が発射する巡行ミサイル

AIP バッテリーの類。艦内の空気を使用しない様に設計されている。

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