運命と死の操り主

@ReiraCute1220

プロローグ

少女は薄く微笑んだ。

「あなたの運命は我が手中にあるわ。――生かすも殺すもあたしの自由よ」


少女の前にいた中年の男性は慌てて膝をつき、少女に涙を流しながら謝った。

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

少女はその深紅色の瞳を彼に向けていたが、やがてふっと笑うと右手を握った。

男性の目から光が失われる。虚脱したような虚ろな表情を凍らせたまま、男性は倒れた。

少女はその亡骸に近づき、そして無感動にそれに目を向ける。


「――ほら見てみなさい。死も運命も、すべてあたしが操れる」


 銀色の髪を揺らし、少女は空を見上げて微笑んだ。微笑みはだんだんと歪んだ笑みに変わり、やがて夜空に哄笑が響き渡ったのだった。

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