第5話 錯綜する思惑! 牙を研ぐ獣たち!

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 臥薪嘗胆がしんしょうたん


 なんだか強そうな響きだが、意味としては、将来的な成功をつかむために、今はまきの上に寝て、苦いきもを舐めるような苦労にも耐える、ということになる。


 そう、例えどんなことであろうと、大きな成果を得るためには、忍耐と我慢が必要になる時もあるものだ。


 大きな仕事を成し遂げるためには、入念な下準備をしなければならない。

 難易度の高い学校を目指すなら、それだけの勉強から逃れることはできない。

 美味しい料理を作るのならば、丁寧な下ごしらえを心がけなければならない。


 どんなことでも、最善を目指すのならば、全てにおいて、手を抜いてはならない。


 それはもちろん、悪の組織にだって、同じことが言える。


 厳しい戦いを勝ち抜くためには、絶え間ない鍛練が、地獄のような特訓が、屈辱にまみれた雌伏しふくが、綿密に練られた計画が、必要な時もある。


 目もくらむような栄光を掴むためには、血のにじむような努力が、不可欠なのだ。


 特に、崖っぷちにまで追い込まれたところから、逆転を狙って、巨大な組織に喧嘩を売って、敵地へと乗り込もうという時は、殊更ことさらに。


 ここからが、天下分け目の関ケ原、ルビコン川に賽は投げられ、赤壁せきへきは風が吹くのを待っている……、そう、まさに正念場というやつだ。


 さあ、始めよう。


 これは、俺と、悪の組織と……、反撃の物語だ。


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