悪の総統はじめました ～もう一回！～

仁義なき戦い編

第１話 地獄からの帰還！ ヴァイスインペリアル再始動！

１－０

　盛者必衰（じょうしゃひっすい）。

　驕（おご）れたつもりはないけれど、いつまでも高い場所に居続けるということは、やはり非常に難しい。諸行無常と言ってしまえばそれまでだけど、少しでも歯車が狂ってしまうだけで、頂点から底辺に転げ落ちてしまうなんて、よくある話だ。

　無敵のチャンピオンだって、いつかは負ける。

　栄華を極めた文明も、いつかは滅ぶ。

　幸せの絶頂にいるような仲睦（なかむつ）まじい二人が、酷い別れをしないとも限らない。

　天国から地獄へ。

　あぁ、まさにこの世の儚（はかな）さよ。それとも、これこそ世の常か。

　多くを得た者こそ、多くを失い、その絶望は深くなる。

　これは悪夢か、性質の悪い冗談か、なんて、現実逃避しても意味はない。

　失ったものは、もう戻ってはこないのだから。

　……だがしかし、だがしかし、だ。

　頂点から転げ落ちたら、それで全ては終わりなのだろうか？

　挽回（ばんかい）は無理なのか？　再起は不可能なのか？　復活はありえないのか？

　そうではない……、そうではないと、俺は思う。

　敗北した元チャンピオンが、再戦に挑（いど）んでもいいはずだ。

　滅んだ文明から、また新たな文化が芽吹くこともあるだろう。

　凄惨（せいさん）な別れを経験した二人が、再び手を取り合っても、いいはずだ。

　失ったものは、確かに戻ってこないのかもしれない。

　だけど、諦めさえしなければ、また新しいなにかを掴み取れる。

　落ちたのならば、登ればいい。

　倒れたならば、起き上ればいい。

　目を閉じたなら、開けばいい。

　絶望の海に沈むのも、そこでまた、新たな希望を見つけるのも、全ては自由だ。

　陽はまた昇る……、さぁ、始めよう。

　これは、俺と、悪の組織の物語だ。