【LN】サクラアメ
2013年4月、その日は雨が降りました。
そして、わたしは助手席に座っていました。
運転していたのは、大学からの友達。
2年ぶりに再会した。
これは運命だったのだろう。
2年前は同級生だったはずなのに、彼はわたしの先輩になっていた。
とはいえ、彼を制御できるのはわたしだけだろうとおもった。
全ての権力を手にしていた彼が、唯一と言っていいほど頭が上がらない存在がわたしだった、とおもっている。
はは、言い過ぎかな?
デスクがある建屋は、広大な敷地の一角にあった。
新しい生活がここからはじまる。
ということで、その敷地をぐるっとまわったわけです。
同僚はわたしを含め8人、二台に分かれて乗ります。
彼がフェミニストなので、他国籍女子2人は大概彼の車、後部座席にのる。余った助手席は、後輩兼同僚には荷が重すぎるから、大抵わたしが乗る、というのがお決まりでした。
彼の車はオンボロで、ガソリンメーターが壊れていた。車を買い換えればいいのに、そんな余裕はなかっただろうし、それに彼は極度の倹約家だった。そういうところは彼らしい。
何もないまっすぐな道を進んでいる時、パラパラと雨が降ってきました。瀬戸内気候と言われるくらいなので、あまり雨が降らないと認識していたのですが、山間部は別のようです。
そのとき、この歌が頭の中に流れてきました。
Driving in the rain
オンボロな車で、森の中を2人で進んでいく様が、たしかに見えたのです。
最初はサビしかなかったのですが、それから2年後の、あめのあるばむ*を発表するにあたって、せっかくなので、他の歌詞やメロも書き上げました。
やはりそのときにも、当時の視覚的ログが役に立っていたのだとおもいます。
もうすぐ、春がやってきます。
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