第七夜 納涼大肝試し大会

「ギャーーー~~~ッ!!」


またひと際甲高い叫び声が上がる。

暗闇の奥から、恐怖に引きつった形相をした少女ふたりが四つん這いになって、カサカサカサカサと逃げ出して来る。

この姿を見れば、彼女たちの方が不気味過ぎてよっぽど怖い。気の弱い人間が目撃したならば、その場で失神してしまうレベルだろう。

このボクすらもその一人だった。初めのうちは、悲鳴を上げて来る子どもらに助けの手を差し伸べてやろうくらいの軽い気持ちで高をくくっていた。だが真の恐怖に瀕した者がこれ程恐ろしい様相で逃げ出して来るだなんて、予想外だった。とても声を掛けられる様な尋常な状態ではなかった。

3組を呆然とやり過ごしてから、ようやくハッと我に返った。


「おいっアリス!ボクだ。中止してちょっと出てこい!」

一旦、タイムを要求した。


「なんですか?ご主人たまぁ。やっとノッてきたとこですのにィ★」

アリスが不満顔でのこのこ出て来る。この緊迫した空気とのギャップが凄すぎる。


「ノリ過ぎだよ!みんな腰抜かして逃げ出して来たじゃないか。観てたボクまで腰抜かしそうで恐かったよ!」


「命までは取らない様に手加減するのにかなり気を遣いましたよぉ★」

アリスが如何にも面倒臭そうに文句を言う。


「当たり前だ!肝試しで心臓マヒ起こして死なれたくなんかないわ!」

そんな阿鼻叫喚の図は想像したくもない。


「ご主人たまの株がグンと上がりますゾ☆」


「結構DEATH!一体どんな脅かし方をしてるんだよ?妖怪か?ゾンビか?幽霊か?」

気になって仕方なかった疑問を彼女にぶつけてみた。



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