第四夜 プロミストランド

「ご主人たまー!たまー!たまーー!」


「縮めるな!」


「返事が無かったんだもん。もしかして死んじゃったのかと思ったら、ちょっと不安になっちゃって★」

アリスがしょんぼり下を向いた。


「子どもか?!」

縁起でもない!

そうそう、いつまでも魔獣呼ばわりもなんなので、アリスと呼ぶことにしたんだ。


「そうだ。こんなのがさっき届いたんですけどねん!」


「回覧板か・・・え?おまえが出たの?」


「そうですけど。褒めたいですか?」


「いやいや勝手に出るなよ。ご近所にどんな噂が流れるか判んないだろ?」

一人暮らしの高校生が同棲始めたなんて、噂が立ったら海外赴任中の両親に連絡が行くかも知れない。


「だってータダ飯食べてるのも気が引けるもんですよぉ」


「その割には、三杯目にも大盛り要求するよな?」


「そんなどうでもいいことより、早くそれ観てくださいよぅ」


絶対どうでもいいことじゃない。


「日曜礼拝に参加しませんか?悪魔のくせに行きたいの?」


「キャーーっ!そんなワケないじゃないですかァ★」


我リベンジに成功せり。


「冗談だよwん?トレジャーランドで真夏のサマー・キャンプ二泊三日ってまさかこれじゃあ無いだろうな?」


ボクの頭に一抹の不安がよぎる。


「まさかも何もそれに決まってるじゃない☆」


「おまえひとりで行くのか?」


「お願い!ご主人たま連れてってェ!」


「冗談だろ?」

やっぱり不安が的中した。普段から虐げられているボクの危機察知能力はズバ抜けているんだ。


「だって、毎日こんなウサギ小屋みたいな所に閉じ籠ってる身にもなってくださいよぉ!」


「ウサギ小屋で悪かったな!普段どんなトコに棲んでんだおまえは?」


「魔宮ですよ☆」


「・・・ウサギ小屋ですまなかった。でもこの辺夏休み入ってるけど、夏期講習が有るんだよなぁ」


ボクはボクで来年は大事な大学受験を控えている身なのだ。



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