生まれ変わっても、地球でした。

御劔シュガー

プロローグ 枯れて、咲き誇る花


 平成19年生まれ。

 17歳。

 鈴木 美太郎みたろう


 その名のおかげで、「や~い、美太郎。お前女子のパンツ見たろーとか考えてんだろ~」と馬鹿にされ続けた幼少期。

両親を早くに無くし、俺は孤児院で育ってきた。


 その日も、俺は孤児院で目覚めた。

いつも通り、顔を洗い、服を着替えて、院の家族たちと挨拶を交わす。

普通の、何気ない日常。



 明日もあると思っていた。



 守りたいと思っていた。

この日常を。

平凡とは言いがたくても、この日常を守れると思っていた。

失わないと思っていた。



 でも、それは叶わなかった。


唐突に、日常は終わりをつげ、軋み始める。

 目の前であがる血渋き。

響き渡る悲鳴。

飛び散る臓器。

頭が受け入れるのをこばんでいた。

刃物の鈍いきらめきが、振り下ろされ、俺は割れた。

血が、花のように咲いた。



 あ、死んだ。

それくらいだ。

そんなもんだ。

俺なんて、こんなにちっぽけで、何も守れない。

いいことない人生だった。

でも、それでも、そんな日々を好んでいたんだ。

死んでしまった。

 終わりだ。


 ただ、もし生まれ変われるなら…俺は、行けるだろうか。

異世界へ。

ライトノベルのような別世界へ。

もし、行けたなら俺は……。

 次こそ、俺は…。




そして、世界は暗転する。

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