過ぎ去りし夢 2
欲しいもの。そんなものは決まっている。
私が魔女として一人立ちしたあの日から、望んで来たのはいつもたった1つのもの。
「貴方の魂がほしい。貴方と言う存在のすべてがほしい」
凄みの増した笑顔、狂気に見開かれた赤い瞳には、城をやけ尽くす炎と王の顔しか写っていなかった。
「何故そんなものが欲しい?」
たった一人の命と引き換えに国を救うと申し出た、魔女の真意が分からず、王は心に湧いた疑問を口にした。
「貴方はまた、何も覚えていないのね」
悲しみと恨みを含んだ笑いが、震えながら魔女の口からこぼれ落ちる。しかし、囁くようなその言葉は、崩落と火炎の爆ぜる音に掻き消され王の耳へと届くことはなかった。
私の心を知りながら、私を捨てて行った男。
私に愛を語り他の女のものになった男。
何度生まれ変わろうとも。何度死の淵へ逃げようとも。
捨てた心と引き換えに貴方を呪ってみせる。
常しえに……。えぇ、
貴方を離さない。
「貴方に、私の隣で苦しんでいてほしいから」
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