第421話 大阪市中央区難波千日前の四川麻辣麺+ニラキムチ
「暑さにやられないようにしないとな」
七月も半分が過ぎた。今月末に合唱団の大きなイベントを控えており、今日はそのゲネプロだ。夏開催は初。暑さの中で本番を迎えるに当たっての体調管理はとても大事である。
そうなれば、夏バテだなんだと冷たい蕎麦やうどんを啜って済ませるようなものではなく、しっかり喰うのも大切だ。
ゆえに。
「お、すぐ入れそうだな」
日本橋に降り立ち道具屋筋の一つ手前の筋を南下した先にある店へとやってきていた。夏向けの限定があったからだ。
開店まもなくの時間。二回目のロットには入れそうな順番で店内へと入り、タッチパネル式の食券機へ向かう。
「まずは、これだな」
四川麻辣麺の食券を購入。続いて、トッピングを進められるのだが。
「ちょうど千円になるし、いっとくか」
ニラキムチをプラス。
案内された席で食券を出し、
「ニンニク入れますか?」
「入れてください」
と注文を通せば、後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、ゴシックパーティーイベント。アンゼリカとカモミールのターン? それよりカレンはどうした? という感じで細々と進行中である。
軽く出撃してAPが尽き、後は忘却探偵のニューヨークでの物語を読んでいると注文の品がやってきた。
「おお、豪快だな」
丼にこんもり盛られた野菜の周りに薄切りの豚が並びニラキムチが添えられフライドオニオンが振り掛けられ頂点に檸檬のスライスが一枚載った上からブツ切りの符とねぎが散らされている。ニンニクはもやしの隅に沈んでいてよく見えない。
このごちゃっとした見た目がかえって食欲をそそる。
「いただきます」
まずは、このままだと行き場に困りそうな檸檬を絞ってしまう。
続いて、零れそうなねぎをどうにかせねばならない。
チマチマと箸で抓んでもやしと一緒に丼の隅に染み出すスープに浸して喰らう。
「ああ、刺激」
ネギの辛味もあるが、麻辣、痺れと辛味が心地良い。ベースがベースだけにオイリーではあるが、味わいはサッパリ目。夏向けの味だ。
だが、これではラチが開かない。
ネギが零れないように気を付けながら、野菜と肉を沈めて麺を引っ張りだす。ニラキムチとニンニクも混ぜてしまう。
出てきた太く平たくボリューミーな麺を喰らえば、麻辣とニラキムチも絡んできてほどほどに辛い。だが、それがいい。※個人の感想です
この中にあって豚の素朴な旨みが甘く感じる。いいバランスだ。
段々と体が温まり、額に汗が滲んでくる。適宜の水分補給をしつつ、麻辣の味を楽しむ。味変用の調味料は色々あるが、既にニラキムチで味変が入っている。これ以上は無粋だろう。
痺れと辛味で野菜を豚を麺を美味しくいだだく。
ボリュームはあるが、するりと食べ尽くし。
後はスープが残るのみ。
汝、完飲すべからず。
無理に呑むことはないだろう。
野菜と麺の切れ端を少し追い駆けて名残を惜しむに留め。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
食器を付け台に上げて店を後にする。
「さて、買い物して帰るか」
オタロードへと、足を向ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます