第416話 大阪市浪速区難波中のらーめん
「カレーナポ、か」
仕事を終え、買い物と映画を観る予定がある。
場所は難波。
となれば、何かを喰らうということで、今日から始まるというカレーナポを喰うべく、日本橋に降り立ち、オタロードへ向かう道を南下していた。
だが、だ。
「本当に、今の私はカレーナポ腹なのか?」
そんな疑問があった。
今日から始まる。だから喰わねばならぬのか? それは、義務感では?
いや、確かに、昨年喰ったカレーナポは旨かった。今年はゴロゴロチキンまで入っているというのだから、旨いのは間違いない。
だけど。
今一、己の腹への理解が及んでいない気がしていたのだ。
そうして、オタロードはソフマップ前の店に着いたのは、定時ダッシュの甲斐あって18時前。
席は空いていそうだ。すぐに入れる。
そこで、隣の店の中も、一緒に目に入った。入ってすぐの左手にある、保温ジャーに、ちょうど、店員がご飯を補充するところだった。
ああ、そうか。
そうなんだ。
今の私が喰いたかったのは……
気がつけば私は、ナポリタンではなくラーメンの店に入り、基本のラーメンの食券を確保していた。
空いていたカウンターの奥の席に着き、
「醤油、麺固め、味濃い目、アブラは普通で」
「大盛りどうしますか?」
「大盛りで」
とサクッと注文を通し、店の入り口の方へと。
手指を消毒し、ジャーを開け、茶碗をとり、しゃもじを手に、米を盛る。お代わり自由だが、タイムリミットまで十分を切っている。十分な量をよそうのだ。
そうして、席に戻る。
「そうだ、私は、米が食いたかったんだ」
ずっと付きまとっていた己の腹への疑問。そうだ、ここのところ、麺ばかりで米を食って居なかったじゃないか!
カレーナポは今度にして、米に合うラーメンを選んだのである。しかし、関東の人間はこなもんに米を否定する割に、どうしてこの関東発祥の店は米を推奨する? そういうのをダブルスタンダードだというのに。
などと益体無いことを考えつつ、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、五悪魔の花嫁衣装イベント。となるとリリーが来るので期せずして、来月のクレジット請求に諭吉さんをベットしてしまったのはご愛嬌。限界突破の羽根を使ったので、これでも控えめだ。月初にも別のリリーが来たので、な。
それはそれとして、道中に出撃したのでAPが足りぬ。代わりに、解放されたストーリーを読んで待てば、ちょうどいい頃合いに注文の品がやってきた。
白っぽいスープにチャーシュー、うずら玉子、ほうれん草の緑が鮮やかだ。縁に添えられた大きな海苔も壮観。
「いただきます」
まずは、海苔をスープに浸してご飯を包み、喰らう。
「ああ、これこそが、求めていたものだ」
腹の虫の歓喜の声が聞こえる。 Freude!
続いて、スープで追い駆ける。豚骨醤油のガッツリ味。米が進む。
次は、
「これだ」
豆板醤をご飯に載せ、スープを浸した海苔で即席おにぎり。
「から……うま」
語彙がおかしくなっているが、改めて米は旨い。
米と合うラーメンである。
だが、まだだ。
豆板醤に、更におろしニンニクを載せ、最後の一枚で包めば。
「究極にして、至高……」
ジャンクな味わいが口内一杯に広がり幸腹感で満たされる。
だが、まだ米もあれば、麺もある。
まだまだ、この味が楽しめるのである。なんと幸せ!
しょっからいスープと麺でご飯を勧めつつ、箸休め的にうずら玉子を囓り、ほうれん草を口に運ぶ。
チャーシューを米と合わせて即席の丼的に楽しむのもよし。
おろしニンニクで風味を変えつつ、更に楽しみ。
最後に、生姜を入れてさっぱりさせて、しょうが焼きっぽい味わいで残りのチャーシューを喰らいつつ米をかっ込み。
麺は尽き、スープで米を平らげ。
残ったスープも飲み干し。
手を上げれば、
「まくり券です」
とサービス券を確保し。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごうちそうさん」
店を後にする。
「さて、ガッツリ喰らったし、買い物がてら歩くか」
オタロードを南下し、まずはメロンブックスを目指す。
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