再び、同居生活、始まります。

saki

【1】終業式。

 「暑い・・・。」


蝉の鳴き声とジリジリとした太陽の日差しが登校する私をおそう。

こんなに暑いと登校する気も失せる。


私、辻本月草ツジモトツキクサ17歳。

荒北工業高校2年生だ。


荒北工業高校はこのあたりでは有名なおバカ校。

通称『荒高アラコウ』なんて呼ばれてる。

工業高校というのもあって、9割は男子生徒だ。

私も近くの花宮総合高校のように女の子の多いところに行きたかったが、そんないい頭を持っていない。

私たちの学年には私含めて女子は3人しかいない。

それでも楽しく高校生活は楽しめている。


そんな荒高は今日終業式。

明日から高2の夏休みが始まる!


教室に行くと残りの女子の

小川夕子オガワユウコ『ゆっこ』と中本朱梨ナカモトアカリ『あーちゃん』がいた。


「あ、つっきーだ、遅かったねぇ!」


朱梨が私を見つけるとそう言いながら笑った。

朱梨はふわふわしていて癒やし系だと思う。


「どーせ、暑くて歩きたくなかったんでしょ?はい、お水。」


夕子はお水を渡してくれた。

この子はしっかり者で、優しくてきっとお母さんみたいな感じ。


「ゆっこ正解!あーちゃんには癒やされる~」


夏休み目前ということもあり教室の男子ははしゃいでる。

・・・私の夏休みはバイト三昧かな。



___________




終業式が始まり校長の挨拶が始まる。

校長の挨拶って長いイメージだけどここでそんなに長い挨拶をしようものなら即、ヤジが飛ぶ。


「明日からは夏休みです。なるべく問題を起こさず、楽しい夏休みにしましょう。補修がある生徒は頑張ってくださいね。以上です。」


こんなものだ。

終業式もちゃっちゃと終わり教室ではRHRが始まった。

成績が配られて、なんとか補修は免れた。

2という数字の中に3なんて数字があることがすごくうれしい!


RHRがおわって、夏休みの遊び計画を3人で立てていると


「月草ちゃん、ちょっといい?」


知らない男子生徒に声をかけられた。


「あーちゃんとゆっこちょっと行ってくるね!」


そう2人に告げてその人について行った。

連れてこられたのは、体育館横。


「あの・・・?なんですか?」


私の質問に


「月草、俺と付き合えよ。」


そんな言葉とともにあの、壁ドンをされた。


「ごめんなさい。」


即、断ると彼は真っ赤になって


「なにがだめなんだよ!」


と声を荒げた。


「あなたの名前も何も知らないし、話したのも今日が初めてです。」


そう告げると、


「俺のことあんなに見てたじゃないか!俺は月草のことよく知ってるよ。

君に俺からのキスをプレゼントするよ・・・。」


何。この人・・・。

よくそんな台詞を言えるもんだ。

感心していると

顔を上げると彼の顔が近づいてくる!?

え、なに。どーしよう!感心している場合じゃないよね!


次の瞬間。

彼はドゴッ!というすごい音と同時に消えた。


投げた主は

神林剛カンバヤシタケル先輩だった。

彼は、柔道部で全国大会などにも出場する選手でもある。

さっきの男は先輩に投げられたらしい。

・・・痛そう。


「だ、大丈夫か?」


彼は真っ赤だった。


「はい、ありがとうございました。」


そういって笑うと彼はダッシュで走っていてしまった。

今度、しっかりお礼しなきゃ。

そう思いながら、あーちゃんとゆっこのいる教室に戻った。


このときの私は、この後私の人生を変える事件に巻き込まれることなどまだ知らない。

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