ボーカロイド曲の歴史・プロジェクト時代後期
アリエ:
さて、どんどん行きましょうか。お次は“いーあるふぁんくらぶ”。
まりあ:
いかにも中国っぽいですね。カンフーのポーズをとりたくなるような軽やかさです。
アリエ:
憧れのスターのために中国語の勉強をする女の子の歌です。
中国からの歌ってみた動画が好評を博したり、定番のMAD素材になるなどこの頃としては珍しい流行となりました。
一方で流行のど真ん中を突き抜けていったのが“脳漿炸裂ガール”。
まりあ:
……おぅふ。
アリエ:
その反応は予想できてましたが、実際に言われると悲しくなりますね。
まあでも、もっともかもしれません。バラードやポップスの好きなクリエイターが、当時ニコニコ動画で流行の曲調っぽいものを作ってみた結果らしいです。
とにかく早口で炎上しそうな単語混ぜ込んだ歌詞にしてあえて歌詞やオケの無い空白地帯を作ってみて……
まりあ:
身も蓋もないですね。
アリエ:
その後シリーズ化、小説化、漫画化といつものパターンを経てボーカロイド曲初の実写映画化と……
まりあ:
この歌詞で!?
アリエ:
デスゲームだそうです。もう私にも何がなんだか。
そうこうしているうちに2013年に突入しますが、年の始めからジエンド騒動なるものが起こります。
まりあ:
どういう事件なの?
アリエ:
カゲロウプロジェクトの絶大な人気は企業のステマによるものではないか、という疑惑です。
もちろんそんな事実はなく、元凶となった二名は謝罪しています。
まりあ:
……ちょっと信じかけました。
アリエ:
そんな事実はなかったとはいえこれにより水を差されたのか、メディアミックスに至る動きはやりにくくなってしまいました。まだカゲロウプロジェクトは続いているんですが、後に続く作品がなかなか無くなってしまったんですよ。
この時期の作品と言えばこれですね。Neru氏の“ロストワンの号哭”。
まりあ:
ロストワン? 号哭?
アリエ:
ロストワンは「自己主張を失った人間」、号哭は「大声をあげて泣き叫ぶこと」という意味だそうです。
まさにタイトル通りの歌詞で、実にロックです。
まりあ:
脳髄に突き刺さってくるような歌声ですね。
アリエ:
実はカゲロウデイズの方が高音だと言うんだから驚きです。
まりあ:
え……
アリエ:
声質や使い方の違いでしょうか。案外気づけないものなんですよね。
そして2013年の夏の終わり、カゲロウプロジェクトはニコニコ動画での活動を終了させます。kemu氏の動画投稿も同時期に途絶え、プロジェクトの時代は完全に終了します。
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