ボーカロイド曲の歴史・メディアミックス時代

アリエ:

 ここからしばらくのことはだいたい二曲で語り尽くせます。その二曲が投稿されたのはどちらも2011年9月のことでした。

 先に投稿されたのは“千本桜”。いつの間にやらボーカロイド文化を代表する楽曲になりました。


まりあ:

 これって、小林幸子が紅白歌合戦で歌ってた……


アリエ:

 そうです。あの演出には感動させられました。

 ぼからんヲチをしながら「この桜散りそうで散らないなぁ」とネガキャンしていたら、CMにミュージカルに紅白にととんでもないことになっていてビックリですよ。

 動画の方もコメントが荒ぶっていかにもニコニコ動画らしい盛り上がりです。


まりあ:

 一緒に歌いたくなるような楽しさがありますね。

 ライブで流れたら楽しそうです。


アリエ:

 もう一つは“カゲロウデイズ”。

 ……と言うよりもこれを発端とするカゲロウプロジェクトと呼ばれる一連の楽曲群ですね。

 何はともあれ聴いてみてください。


まりあ:

 ……やる気あるんですかこれ?


アリエ:

 棒読みだと思われるかもしれませんが、おそらくわざとです。

 サビまで聴けばその理由も少しは分かるかとーー


まりあ:

 うぇっ。


アリエ:

 ……人間にはこういう表現は難しいですよね。つい感情を入れてしまって。

 手描きアニメーションPVが人気ですが、個人的には白黒水赤しか使用していないあの本家PVがたまらないんですよ。


まりあ:

 鮮やかな視界が途端に赤く染まる感じは確かに色を絞らないと難しいかもですね。


アリエ:

 カゲロウプロジェクトは小説、漫画、アニメと幅広い媒体へのメディアミックスを敢行し、多くのファンとアンチを生み出しました。「カゲプロのパクリ」が盛んに使われたあの頃は本当に大変でしたよ。

 これ以降、ボーカロイド界隈でもプロジェクトものと呼ばれる世界観を共通する楽曲群を作る作者が増えました。この曲がもたらした影響はそれほど大きかったんです。

 こうしたプロジェクトの起源はおそらく悪ノ娘なんですが、直接的なブームのきっかけはおそらくカゲプロですね。

 そして来たる2011年12月、初音ミクを起用したGoogleのCMが全世界に放映されます。

 聴いたことがあるかもしれません。“Tell Your World”。


まりあ:

 あ、これも見たことあります!


アリエ:

 ケロケロ加工と呼ばれるperfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのような歌声なので好みが分かれるでしょうね。機械らしくて私は好きです。

 ニコニコ動画だけでほとんど完結していたボーカロイド文化がどんどん外へ広められていったのがこの頃です。

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