〈Level15:走って導いてガラスの靴〉

EXP15

ダッダッダッダッ……


『見えるかの?今は城の頂上、町長室から皆を見渡しながらスピーチをしておる』


娘(町長さんは……頂上……)


ダッダッダッ……


娘(流石にてっぺんまで登ったことはないですが……)


ダッダッダッ……


娘(階段を登っていけば……いつかは……!)


ダッダッダッ


ザザーッ


娘「あー!もう……!ガラスの靴ってやっぱり痛い……普通の靴でくればよかったですね……」


娘(ドラゴンさんなら"だから言っただろ"なんて言うのでしょうか……)


娘(……)


ヌギヌギ……コトッ


娘「……よしっ」


ペタッペタッペタッペタッ


 ◆


ペタッペタッペタッペタッ


娘(……階段!こんなとこにっ!)


ペタッペタッペタッペタッ


ガタガタガタガタッ


兵士群「!?」


娘「!?」


娘(こんなところで鉢合わせなんて!)ボウッ


兵士C「総員、待て!」


ガシャンッガタガタガタンッ


兵士C「そちらも、その炎はしまってもらおうか」


娘「……炎をしまうってなんだか変ですね」シュウ


兵士C「町長様からお前は先へと通すように言われている。町長室はこの先だ」


娘「私はって……なんで……」


兵士C「さぁな。我々にもわからんが、長きに渡りこの町を……"平和な"この町を治めてきた長だ。町長様には町長様なりのお考えがあるのだろう」


娘「……」


兵士C「行ってみればいいさ。総員、壁に寄れ!お嬢様を通して差し上げろ!」


兵士群「はっ!」ガシャガシャッ……


娘「ありがとうは、言いませんよ」


ペタッペタッペタッペタッ……


兵士C「求めちゃいないさ」


兵士D「隊長!他の隊より連絡!兵長支持の兵隊が城に攻め行っているようです!」


兵士C「侵入者への対応を手薄にするため、全ての兵の手を埋めることが兵長殿の目的だろう……ほっておけ」


兵士D「しかし、我が兵の過半数以上は兵長支持派です……!そのほぼ全員がこれに参加している模様!……このままでは!」


兵士C「くそっ……選択肢はないということか……仕方あるまい。支援に回るぞ」


兵士群「はっ!」


 ◆


ガシャンッ……ガシャンッ……


……


…………


……………………


ペタッ……ペタッ……


娘「やっと……ですか……」ハァハァ


…………


娘(この先に……)ハァ……ハァ……


スゥッ……


娘「……よしっ」


ギィッ……


町長「おや、早かったのう」


娘「全力疾走、してきましたから」ハァハァ


町長「まぁかけるとよい。紅茶が冷める前に、の」


娘「紅茶?」


町長「好きなんじゃろ?男が言っておったぞ。あぁ、何。心配するでない。そいつには毒は盛っとらん」


娘「そいつにはって……やっぱり……」


町長「言わずもがな、じゃの」


娘「……」ボウッ


町長「おお、やめとくれんかのう。わしももう老いぼれじゃ。直接戦う気などはない。……いや、そもそも戦えんよ」


町長「言うなれば……そう、おぬしとお茶をしようというだけなのじゃよ。お話じゃ」


娘「こんな状況でお茶なんて……早くドラゴンの毒を解毒しないと……!」


町長「あの毒ではドラゴンは死ぬまいよ。確かに致死性の毒ではある。……じゃがそれは他の魔物であればの話であっての。あのドラゴンほどになれば数日は拘束できれば御の字、といったところかの?」


娘「でも、ドラゴンは苦しんでるんですよ?」


町長「うむ、それでよい」


娘「そんな……そんな!」


ギィィィ……バタンッ


娘「!?」シュウ


町長「では、答え合わせといくかの」

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