第5話

フルマラソン参加のナンバーカードを入手したわたし。(実際には、身分証明等の提示が必要です。また、フルマラソンは身体的に発達途上の高校生等には負担が大きく参加は望ましくないと考えられます。あくまでも小説の中での話とご容赦ください)


正直、受験を間近に控えたタイミングで母からも苦言を呈された。でも、わたしは走らずにいられない。少しずつ、練習で走る距離を伸ばしていく。神社のコースを走ることは変わらない。わたしは、遠くの神社も調べてコースを編成する。週に一度は10~15kmくらいの距離を走れるようにもなった。


ただ、自分が果たしてどの程度のタイムで走れるのかもわからず、本屋さんでマラソンに関する本をいくつも読んでみた。その中でわたしの心にピーンと響いたのは次の文章だった。「必勝法は、自分のペースを守ることです。マラソンは、謙虚さが必要なスポーツです」例として、年配のランナーが序盤にどんなに若いランナーに抜かれようともじっと我慢してきちんとマイペースを守り、終盤では逆にバテた若者を抜き去る、ということを挙げていた。なるほど、単に若くて体力があるというだけではなく、何か人生経験のようなもの、驕りを戒めるものが必要なのだ、と、なんだか感激した。


ちょっと準備は不十分かな、という風には感じたけれどもとにかくも大会当日を迎えることになった。

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